独立系ソフトウェア専業ベンダーとして、今年創業40周年を迎えるジャステック。昨年2月に中谷昇氏が社長に就任。国内ビジネスの足場を固めるとともに、次の一手として、海外事業を拡大。グローバリゼーションに向けて、本格的に始動する。
強みを見直し、成長路線描く
──御社は11月期決算ですが、現段階での業績はいかがですか。
中谷 売り上げはかなり落ち込みをみせています。国内の景気全体が落ち込んでいて、それによって特定顧客が影響を受けていることも、要因の一つとしてあります。だけど、むしろ今の状況はプラスに考えたいですね。こういう時だからこそ、今まで何となく調子がよくて、うまく回っていた仕組みの問題点が浮かび上がってきます。社員全員で危機感を共有しながら、課題をどう解決するか、どう改善していくかを考えて推進しています。それによって、ナイキのロゴマークのようにヒューンと右肩上がりに成長線を描きたい。そうなった時には、強い体質で業績を回復して、さらに伸ばしていくことができると考えています。
──今、社内で直面している問題とは?
中谷 問題というよりは「挑戦課題」といったほうが適切な表現です。まず、当社の強みはプロジェクトの原価を定量的に管理できることです。一般的には、定性的に処理されがちな顧客とのコミュニケーションも定量的に管理して、厳密な原価を算出していくことができます。システムエンジニアリングというのは「目に見えない仕事」ですが、定量的な原価管理によって、高収益体質を維持してきました。この業界では、一般的に経常利益率は6~7%ぐらいの会社が多いのです。当社も現状では業界で標準的な経常利益率を維持している結果になっています。ですが、景気の悪化前は、15%前後の経常利益率で推移してきました。
もう一つ、ポリシーとして徹底しているのが、「知識集約型」のビジネスです。顧客の言いなりになって動くのではなく、自分たちのスキルを社内で共有しながら自身の能力を高めて、そこで蓄積したスキルをもとに顧客に高付加価値サービスを提供する。「プロフェッショナルサービス」というに足りる価値を提供します。
この二つを推進することが、成長のカギとなっています。一時期、売上高140億円にまで到達した際には、本来到達せねばならない基準からすると、やや甘くなっていた感がありますね。今一度見直して、知識集約、定量管理の改善すべき点を探して、推進していこうというのが挑戦課題です。今のうちに磨きをかけて、景気が回復するのに伴って大きく伸びていくことを目指しています。
──どのような活動を通じて、改善を図っていますか。
中谷 コミュニケーションの取り方については、ただメールを投げるのではなく、対面で話し合うほうがいい。それから、どうしても部門間で敷居ができがちなので、タスクフォースを発足して営業本部と製造本部を横串でつなげて、ともに危機意識を共有しながら知識の交換も行っています。で、先ほどの定量的な原価管理に関しては前社長の神山茂(会長)がエキスパートなので、製造本部の技術に特化して、テコ入れを行っています。
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