かつて会計専用機ベンダーとして躍進を遂げたミロク情報サービス。オープン化の波を乗り越えて、近年は業績が再び上向き傾向にある。その背景の一つに、新規顧客の大幅な増加がある。そして、すでに是枝周樹社長は、「“面”をとっていく」という次なるビジネスモデルの構築を見据えている。キーワードはコンシューマライゼーション。クラウドやソーシャルへの対応を急いでいる。「今の業態のまま成長させようとは、これっぽちも考えていない」と力強く語る。
新規顧客が大幅に増加
──業績を振り返ると、2008年度以降は順調に推移して、2011年度の営業利益は過去最高でした。今期(2013年3月期)の上半期も業績が好調ですね。2011年末のインタビューでは、「成長路線を突き進むには、新規顧客の獲得が不可欠」と断言しておられましたが、うまくいったということでしょうか。 是枝 ハードウェア、ソフトウェア、ユースウェアで構成するシステム導入契約売上高のうち、新規受注金額が25%に達しています。売り上げが25%増えているわけで、4年後には金額ベースで倍のユーザー資源を獲得できる計算になります。サービス収入の増加も大きく期待しています。
これまで、新規獲得に関してはユーザーに対する啓発という性格が強かったですが、今期から予算化して本格的に刈り取りを始めた成果だと考えています。
──今期から予算化したのは、何か理由があってのことですか。 是枝 2016年度の第3次中期経営計画では、230億円の売上高、33億円の経常利益を目指しています。この数字に到達するには、今期から予算化しないとまずい。とくに、昨年は新製品を発売したので、どうしてもリプレースに偏重しがちでした。既存顧客のリプレースに片寄ると、先細りになってしまいます。結果として、業績の悪化を招くことになる。そうした負のスパイラルから脱して、成長路線に乗る必要がありました。
──新規顧客の獲得に向けて、具体的にはどのような取り組みをしてこられましたか。 是枝 会計事務所のユーザー会に新規の会計事務所を紹介してもらったり、年間300回以上の会計事務所向けセミナーを開催したりして、新規顧客を積極的に取り込みました。
汎用的な製品を競合の日本デジタル研究所やTKCの顧客に対しても訴求しました。内部統制やBCP(事業継続計画)の観点に立ったセキュリティ製品や複合機などの商材を幅広く揃えて積極的に売り込むことで、顧客の垣根を壊していきました。
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