独立系ソフトウェアベンダー(ISV)のシステムインテグレータは、2014年1月22日に東証1部への上場を果たした。同社が13年度(14年2月期)に開始した3年間の中期経営計画では、14年度で東証2部へ上場することを目標としていたが、今回の上場市場変更は前倒し・飛び級での達成となる。同社は、2期連続で売上高・営業利益とも過去最高を記録し、今年度も通期予想の売上高を上方修正するほどの好業績を挙げている。梅田弘之社長に好調の要因や今後の戦略を聞いた。
飛び級で東証1部に上場
──今年1月22日、御社は東証1部に上場されました。このタイミングで上場市場の変更に踏み切った理由を教えてください。 梅田 2011・12年度の2期連続で過去最高の業績を達成したことや、12年3月に東京証券取引所が上場の形式基準を緩和したことを受けて、13年度(14年2月期)にスタートした3年間の中期経営計画に、東証2部への上場という目標を盛り込みました。当初は、14年度での2部上場を目指していましたが、今期は順調にビジネスが伸びていて、前倒しで市場変更を実現できる可能性が出てきました。株主数と時価総額が形式基準を満たしていなかったので、まさか東証1部に上場できるとは思っていませんでしたが、株の立会外分売と積極的なIRを進めたところ、形式基準をクリアでき、今年1月15日に東証1部への上場が承認されました。
──形式基準以外にも、上場の審査基準には企業の継続性などの適格要件が設けられています。御社のどんなところが評価されたのでしょうか。 梅田 常駐派遣型のビジネスを展開しているIT企業が多いなかで、オリジナリティのあるパッケージソフトを開発してきたことが評価されたと思います。また、当然のことではありますが、不正をしないクリーンな経営を実現していることも評価されたと考えています。当社は、06年に東証マザーズに上場する以前から内部統制の強化に取り組んでいて、従業員のサービス残業などは一切ありませんと胸を張って言うことができます。
そして、自社にERPを導入して、経営の合理化を進めていることも影響していると思います。IT企業は、ITを販売してお客様の経営の合理化を支援している割には、自社のIT化が遅れているケースが多いのが実情です。当社は従業員数が130人ほどの企業ですが、受注管理や販売管理システムだけでなく、プロジェクト管理システムによって開発プロジェクトを見える化したり、営業がSFAを活用したりしています。社内のペーパーレス化も実現しています。同じくらいの規模のIT企業で、ここまで積極的にITを活用して経営を合理化しているところは多くないはずです。
──梅田社長は、東証1部に上場することの意義をどのようにお考えですか。 梅田 東証1部に上場したからといって、何か特別なことをするわけではありません。13年度に新しい中期経営計画をスタートして、新製品の開発や海外ビジネスなどに積極的に取り組んでいるところです。上場市場の変更も、その動きの一つに過ぎません。ただし、東証1部に上場すれば、企業の信頼感が増大して、人材も採用しやすくなりますので、いろいろな挑戦をしやすくなるとは考えています。
[次のページ]