IT機器の保守・運用などを手掛けるNECフィールディングは、新型コロナウイルスの感染が広がる中でも顧客のサポートを続けてきた。ビジネスを継続できた要因について、4月に就任した鈴木浩社長は「社内で進めてきたデジタルトランスフォーメーション(DX)が奏功した」との考えを示す。さらなる成長に向け、非NEC製品や非ICT機器も保守対象とするマルチメンテナンス事業に引き続き注力する方針で、「社会に貢献し、なくなったら困ると思ってもらるような企業体にしたい」と会社の将来像を描く。
取り組んできたDXで
事業を継続
――今年は、新型コロナウイルスの感染拡大で多くの企業が影響を受けています。4月に社長に就任された後、これまでのビジネスはどのように推移していますか。
我々のビジネスは、お客様が稼働しないと商売にならないところがあります。消耗品関係のビジネスが止まったほか、大規模な機器の展開が先延ばしになるといった影響があり、前半はかなりのインパクトが出ました。ただ、保守や運用といった継続的な仕事はほとんど下がっていませんでした。また、政府が進めるGIGAスクール構想関係で中規模な商談が出ています。前半は厳しいながらも、年間でみると例年並みぐらいに戻せると見込んでいます。
――コロナ禍では、客先に赴けない問題もあったと思います。保守や運用は、どのような形で業務を進めていましたか。
社内のDX化を5、6年ぐらい前から段階的に広げており、それが功を奏しました。例えば障害が起きた時、お客様からコールを受けるのですが、(オフィスでの)勤務が制限された中でも、AI(人工知能)である程度こなしたり、Webで受付処理をしたりしました。全体の工数を抑制できるような仕掛けが入っていたことで、コロナ禍でも業務を維持でき、結果的にお客様の期待に応えるサポートサービスが提供できたと思ってます。
――DX化に取り組んできたことが功を奏したということですが、顧客側ではDXに対して意識に変化はみられますか。
傾向としては、DXを気にされるお客様が多くなっていると感じています。リモートでのやりとりは受け入れられていますし、そうしたいというお客様は増えています。障害対応の受け付けや問い合わせは、従前は100%近くが電話で対応していましたが、このうち何割かはWebやメールなどでのやりとりにシフトしています。保守の面では、今までは弊社に任せきりという形になっていましたが、それをやめようとする傾向がみられます。具体的には、お客様は機器の故障や補修に関するデータを欲していると感じています。我々の仕事にはいろいろなデータがあるので、それをお客様の価値に変えていかないといけないと考えています。
――これまでに社内のDX化が一通り完結したというメッセージを出してきました。今の状況はいかがでしょうか。
現場の電子化など、いろいろなことに取り組み、多くのことを実現してきたという認識は当然あります。ただ、もっと効果を上げられる領域はあると思っています。これまでに整備してきたものをより高度化し、実際の現場で実効性のあるものに昇華させることはまだやっていく必要がありますね。
眼光紙背 ~取材を終えて~
第一線で挑戦できる
NECフィールディングに入社する前、鈴木浩社長はNECの事業部営業として警察や法務省、裁判所といった顧客を担当。訪問先で厳しい言葉をかけられる「叱られキャラだった」と回顧するが、その時に培った「嫌と思うことを率先してやれ」という思いを胸に業務に当たってきた。
NECフィールディングでは、今年4月に常務から社長に昇進した。以前より全体に気を配ることが求められるようになり「知らないことが多く、いろいろな出来事も起きる」と変化を感じている。
それでも「可能性が非常にある組織だと改めて知ることができた」とし、「サービスという形の商材を展開できる第一線にいる」と実感する。
自らの役職については「上っ面の内容を考えるだけでなく、考えたことを現場で生かせるので、さまざまなことに挑戦できるポジション」と捉えている。会社の成長のために、嫌なことにもひるまずに立ち向かっていくつもりだ。
プロフィール
鈴木 浩
(すずき ひろし)
1964年、神奈川県生まれ。87年上智大学理工学部卒業。同年、NEC入社。警察や法務省、裁判所といった司法や自治体などを担当する事業部営業を担当。2015年4月、東京オリンピック・パラリンピック推進本部長。17年4月、NEC執行役員(自治体、医療領域)就任。19年4月、NECフィールディング執行役員常務就任。20年4月、代表取締役執行役員社長就任。
会社紹介
1957年設立。ICTシステムの企画・設計から導入・構築、運用・監視、保守、改善に至るすべての領域でサービスを提供するサポートサービス会社。国内約370カ所のサービス拠点を展開し、約3400人のエンジニアによる迅速・的確なサービスを24時間365日提供している。近年は、ICT以外の医療機器や設備機器の保守も提供している。従業員数4681人(2020年3月末時点・単体)。