「これからの家庭用パソコンとは何か。2002年は家庭用パソコンのあり方について、NECとしての解答を出す年になる」。NEC・富田克一執行役員常務は、家庭用パソコン市場が今後どう発展していくのかを見極める重要な年になるのが今年であると指摘。「情報の処理、蓄積、入出力機能というコンピュータ本来の機能を基礎として、NECの強みを活かせる新しい家庭用パソコンの開発に力を入れる」と、家庭用パソコンのあり方そのものから、抜本的な見直しを図る方針だ。

 富田常務は、「パソコンは汎用機であるがために、どうしても操作が複雑になる。携帯電話やゲーム機、セットトップボックスなどの専用機は、用途が特化しているだけに操作も簡単で、存在理由も明確だ。しかし、よくよく考えてみると、こうした近年の専用機と呼ばれる機器も、パソコンで培った技術をベースに開発したものばかり。02年も、こうした専用機市場は拡大すると思われるが、この背後には汎用機としてのパソコンが存在し、専用機の使い勝手を向上させる役割が、ますます重要になっていくのでないか」と予測する。

 これまでパソコンは、「IT革命」の牽引役としての機能を果たしてきた。これからはほかの専用機やデジタルAV(音響・映像)機器などとの連携を図りながら、IT革命を引っ張る機関車の「1つ」になるという。

 「NECは、自社でAV機器やコンテンツをもっていない。しかし、情報を処理・蓄積し、これらの入出力を担うコンピュータ本来の開発技術は、どこにも負けない。さまざまな専用機やコンテンツを自在に結びつける“情報ハブ”は、まさにコンピュータが最も得意とする分野。これらコンピュータ技術を基盤に、今後、どう家庭用パソコン市場で主導権を発揮していけるかが、02年の重要な研究課題だ」と位置づける。

 情報ハブ=ホームサーバーは、常時接続が飛躍的に拡大する02年、最も重要なキーコンポーネントになることは間違いない。家庭における情報の出入り口である情報ハブを押さえれば、これにつながる専用機やコンテンツとの共存を図ることができる。各社のデジタル機器やAV機器、ソニーの「バイオ」でさえも、「専用機」の1つとして「NECホームサーバー戦略」のなかに取り込むことが可能だ。

 「パソコンと周辺機器という単純な構造から、パソコンを情報ハブとして、ネットワークにつながるすべてのデジタル機器やコンテンツ全般を捉えないと、顧客の需要を満たせない。今後、われわれのパソコンとつながる機器やコンテンツは、これまでになく拡大する。その広大な協業範囲のなかで、どうNECとして主導権を発揮していくのか。その解答が、『コンピュータの本来機能をベースにした製品づくり』ではないか」と話す。

 パソコンを取り巻く環境は、ワープロ中心の用途からインターネット端末へ、そしてこれからはブロードバンド時代へと大きく変わりつつある。

 01年を振り返れば、家庭用パソコンの販売台数が大きく前年割れし、家庭用パソコンのあり方が問い直された年でもあった。「家庭用パソコンは、少なくとも将来的にテレビの年間出荷台数1000万台規模に成長する。だがこの過程で、1人1台あるいは1人数台普及するであろうデジタル機器は、汎用的なパソコンでなく、専用機になる可能性はある」と予測する。

 しかし一方で、「情報ハブとしてのホームサーバー的なパソコンと、個人用、携帯用のパソコンの両方を、1人の利用者が購入するケースもあり、この意味でパソコンは『1家に1台プラスアルファ』の市場が期待できる」と話す。

 楽観論、悲観論の両方が入り乱れる02年。いずれにしても、手放しで拡大する市場の恩恵を受けられるほど甘くはなさそうだ。