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経済産業省、総務省 迷惑メールの対策機運高まる 広告表示の義務付け

2002/02/04 16:09

週刊BCN 2002年02月04日vol.927掲載

 「迷惑メール包囲網」が狭まりつつある。経済産業省が2月1日から電子メールの件名欄に「!広告!」と表示するよう義務付けたのに続き、総務省も「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」の中間取りまとめを公表した。経産省では、悪質な事業者に対して行政処分や罰則の対象とすると厳しい態度を表明し、総務省でも「迷惑メールの送信自体を規律するための法制的な対応が最も効果が高い」と結論づける。迷惑メール問題に詳しい迷惑メール撲滅私的調査会の河原太郎さんは、「悪質な迷惑メール確信犯のほとんどは、送信元を偽装しているケースが多い。悪質業者を特定する方法を確立しないと処罰もできない」と指摘する。

 迷惑メール問題が、最も顕著に表れたのはNTTドコモのiモードだ。ピーク時の昨年10月で、iモードの扱う1日分の電子メール9億5000万通のうち、約8億通が宛先不明の電子メールだった。宛先不明メールのほとんどが、業者が任意に送信したダイレクトメール(迷惑メール)である。

 規制が増えたからといって、「会員向けのメール配信が何かの間違いで迷惑メールにされてしまったら?」と、過剰に反応することはない。経産省の「!広告!」表示義務では、「利用者がメール送付を承諾した場合は表示義務はない」と明言している。

 総務省の中間取りまとめでも、「迷惑メールは、メールによる正当なマーケティングの信頼を損ねている」と、インターネット関連ビジネスの健全な発展を阻害する要因が迷惑メールだと断言する。

 総務省では、「迷惑メールとは、受信者の同意なく一方的に送信されるもの」と定義。

 そのうえで、「法制的な規律の対象としては、受信者の同意や要請がなく送信されるメールであることを要件とする」としている。

 また、「非営利的なメールの送信行為まで規律の対象にするのは適当でない」と、不用な拡大解釈にクギをさす。これまで漠然としていた迷惑メールを明確に定義づけた。

 一方、「行政の対応はまだ甘い」との指摘もある。

 全国約300人の有志からなる迷惑メール撲滅私的調査会の河原さんは、「行政の迷惑メールに対する措置は評価できるものの、悪質な業者を特定する手だてがないのが問題。確信犯は送信元は必ず偽装されており、他人のサーバーに不正侵入し、そこから送信する知能犯も多い。発信元を特定できなければ処罰もできない」と語る。

 つまり、誰が悪徳業者の首に「!広告!」という“鈴”をつけるのか不明確だと指摘する。

 今は、iモードの迷惑メールに焦点が当たっているが、インターネットによるパソコンの迷惑メール問題も深刻になっている。

 河原さんは「パソコンの迷惑メールは、都市の景観問題と同様、個人の感じ方の問題でもあるため、携帯電話のようにハッキリ割り切れない部分がある。発信元の特定が困難である現状では、『規制』でがんじがらめにするのではなく、まずは、地味ながらも迷惑メールを徹底的に無視し、迷惑メールによる経済効果をなくしてしまう国民運動に発展させることが、一番効果的なのでは」と提案する。
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外部リンク

迷惑メール撲滅私的調査会