e-Japan重点計画2年目となる2002年度は、本格的な電子自治体の立ち上がりの時期となる。しかし現実的には、地方自治体間の歩みの格差が激しく、思うようには進んでいない。このような状況下、栃木県鹿沼市をはじめとする11市町は、都道府県の枠を越えた共同研究会を発足。電子自治体時代の選挙制度のあり方、電子投票システムの構築など、制度改革の方向性から具体的なシステム構築までを視野に入れた活動に取り組んでいる。

 栃木県鹿沼市ほか11市町で構成する「選挙システム研究会」は、このほど研究活動の成果を報告書としてまとめた。同研究会は、選挙管理委員会事務局の業務および投票管理のコンピュータ化を推進する目的で、01年3月に発足したもので、これまで計4回の会合のほか、電子メールによる情報・意見交換によって、実務に即したコンピュータシステムのあり方や法的課題などについて検討を行ってきた。

 メンバーは会長の鹿沼市をはじめ、栃木県栃木市、佐野市、日光市、真岡市、大田原市、黒磯市、高根沢町、茨城県笠間市、大阪府四条畷市、静岡県相良町の11市町。市町村が主体となり、都道府県の枠を越えて共同研究を行うのは全国でも珍しいケースだ。

 事務局にはTKCが参加し、選挙システム研究会の活動を支援するほか、今回の研究成果をもとに具体的なシステムの設計・開発を進める。4月には同社独自開発の地方公共団体向け選挙システム『e-TASK選挙システム』をリリースする予定。

 近年、公職選挙法の改正で選挙人名簿定時登録の年4回化、不在者投票事由の要件緩和、投票時間の延長、洋上投票や在外投票の実施などにより、有権者にとって、より投票しやすい環境が整いつつある。

 また、第153回国会では、「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律」(電磁記録投票法)が成立したことを受けて、先進的な地方公共団体を中心に「電子投票」が02年度中にも実施される予定になっている。

 その一方で、選挙の管理執行を担う選挙管理委員会事務局業務については、行政事務のなかでも電子化が遅れている分野。ほとんどの市町村で選挙人名簿抄本の出力程度にとどまっているのが実情。事務局の作業は増大・煩雑化する傾向にあり、電子政府時代を迎えて各種公文書の電子化や業務のネットワーク化が急がれている。

 こうした背景から「選挙システム研究会」は、実務に即した選挙システムを構築する目的で、市町の実務者が集まって研究会を設立し、業務分析からシステム設計まで統一した検討を行ってきた。具体的な研究内容は、(1)永久選挙人名簿管理、(2)投票管理、(3)選挙管理委員会業務に関するシステム――など。

 電子投票への対応などについては、02年度中に導入を計画する市町村などの動きも活発化していることから、研究会の次期活動として新たに「電子投票システム研究会」(仮称)を立ち上げ、電子投票を視野に入れたシステム検討を行う予定となっている。