「競争が激化するストレージ分野においては、トップでなければ事業を行う必要がないとさえ考えている」――。日立製作所・庄山悦彦社長のこの言葉が、今回の日立製作所と米IBMとのストレージ分野における提携の狙いを端的に表している。

 昨年3月のサーバー分野での提携に続く、今回の大型提携。日立とIBMは、エンタープライズ分野で完全に歩調を合わせる体制が整った。

 今回の提携は、RAIDに関する戦略的提携と、ハードディスクの研究開発、製造、販売までを行う新会社設立の2点が骨子。

 RAIDでの提携では、両社の技術を融合し、次世代ストレージ技術の開発およびIBMのバーチャリゼーション技術をベースにした同技術の共同開発、マルチベンダー環境におけるインターオペラビリティ(相互接続性)の実現、標準基盤CIM(コモン・インフォメーション・モデル)の共同開発を行う。

 EMCを追い上げる日立にとって、最大のアキレス腱は、ストレージ管理ソフトやバーチャライゼーションなどのソフト分野。ストレージ管理ソフトを年内にも投入する計画など、体制を徐々に整えつつあるが、市場の認知を得るまでにはまだまだ時間がかかる。

 そうしたなか、今回のIBMとの提携によって、一気にソフト分野の強化が行えることは日立にとっても大きなメリットがある。とくに今後のストレージ事業にとって欠かすことができないバーチャライゼーション技術を手に入れることは、追い風になるだろう。

 一方、ハードディスク分野における新会社設立では、日立製作所とIBMのハードディスク事業に関する社員、設備、知的財産権の統合を図り、世界最大のハードディスク企業を目指す。

 年内を目途に設立し、日立製作所が70%、米IBMが30%を出資する。資本金は未定。日立からCEOを選出し、本社は米カリフォルニア州サンノゼに置く。売上規模は5000-6000億円になる見込み。

 日立製作所の庄山悦彦社長は、「ソリューション事業の推進には、強いハードが不可欠。そうした意味でも、RAIDとハードディスク製品の強化を図る必要があり、今回の提携は重要な意味をもつ」と語る。

 日本IBMの大歳卓麻社長も、「ハードディスクを開発したIBMと、この分野で実績をもつ日立の両社資産と歴史を生かすことで、この分野でナンバーワンを獲得することができるだろう」と抱負を語る。

 ハードディスク事業は規模と投資のビジネスであることには変わらない。今回の提携で2社は、ストレージ事業において、極めてよいポジションを獲得することになった。