ERPやCRM、SCMなど企業の各種情報化ソフトが作成したぼう大なデータを意味のある形に加工し分析するビジネス・インテリジェンス(BI)ソフトの市場が拡大している。各種情報化ソフトの採用を終えた企業が、これらソフトを最大限に有効利用するためにBIの採用を始めたからだ。BI採用にはシステムコンサルティングが不可欠。BIがIT企業全体をけん引する可能性も出てきた。

 世界のスーパーマーケット業界では激しい合従連衡が進んでおり、日本にも仏カルフールや米ウォルマートなどの大手が進出してきている。実はこうした動きの背景に、BIの進化があるといわれる。

 従来、スーパーは大手チェーンより地元の店舗の方が強いといわれた。地元の店舗の方が地元の消費者の嗜好をつかんでいるからだ。

 ところがデータマイニングやBI技術が進化したことから、大手チェーンの本部でも各地の店舗の経営判断が可能になった。米スーパー大手のセーフウェーのバード会長は小売業界の会合の講演のなかで、「今まで抱えていた多くの問題点は、情報技術の革新とスケールメリットにより解決しつつある」と語っているほどだ。

 BIはスーパー以外の業界にも浸透しつつある。米ハイテク調査会社IDCによると、昨年のBI市場は前年比2.2%増の38億ドルで、今年は同9%増の42億ドルになる見通し。両年ともソフトウェア市場全体を上回る成長率だ。

 BIソフトの定義はかなり曖昧。メーカーや形式の異なるデータを取り扱えること、3次元などの高度な表やグラフを使って表現力豊かに分析できること、ウェブ技術を使ってだれにでも簡単に操作できること、などがその定義だ。

 具体例としては、大手レストランチェーンが料理や飲み物ごとに売り上げや収益率をはじき出し最も効率のいいメニューの組み合わせを編み出すのにBIを使ったり、半導体メーカーが各種機能と歩留まりの相関係数を計算し効率のいい性能の組み合わせを算出するのにBIを使ったりしている。

 また経営者の方針が現場レベルでどのように実践されているかをモニタするのにBIが使われたり、根本的な戦略転換の判断材料にもBIが使われ始めているという。

 経験と勘が中心だった経営判断の現場に、リアルタイムデータに基づく、より科学的な経営判断手法が次々と進出し始めているようだ。

 マイクロソフトやオラクルなどの大手ITベンダーもBIソフト開発に乗り出しているが、業種・業態に特化したBIソフトを開発するには専門性やクリエイティビティが必要なことから全般的にベンチャー企業が強い分野で、仏ビジネス・オブジェクツやカナダのコグノスなどが業績を伸ばしている。

 またBIを採用するのにシステムコンサルティングが不可欠なことから、BI専門のコンサルタントを抱えるシステムインテグレータも増えてきている。あるシステムインテグレータは「コンサルティングをきっかけに、顧客企業との関係を強化したい」としており、IT業界のBIに対する期待がここにきて急速に高まっているようだ。(湯川鶴章)