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グローバルナレッジネットワーク 米本社から独立、戦略決定を迅速化 5年後の株式公開を視野に

2004/03/29 20:24

週刊BCN 2004年03月29日vol.1033掲載

 IT教育会社のグローバルナレッジネットワーク(尾藤伸一社長=写真)は、日本市場での戦略決定を迅速化する目的で、米本社の子会社から3月5日付で独立資本会社となった。今後、米グローバルナレッジネットワークとはパートナーとして対等の立場となる。同社は今年1月、社長直轄の「戦略ビジネス企画開発室」を新設して企業のビジネスプランに合致した「人財開発」のIT教育コンサルティングを強化するなど、米本社とは一線を画す戦略を実施してきた。尾藤社長は、「今回の独立で、新戦略への投資のスピードが早まる」と、5年以内の株式公開を念頭に事業拡大を図る。

 同社は3月5日、ベンチャーキャピタルのジャフコから出資を受け、尾藤社長を代表とするマネジメントチームによるマネジメントバイアウト(MBO)により独立した。資本金は4億7000万円。尾藤社長は、「IPv6などの進展が早い日本では、IT業界の技術者に求められるスキルは複合化し、スピードが要求されている。米国のIT教育理論では、日本企業のニーズに応えられなくなった」と、親会社に事業執行の可否を仰がずに積極的な投資ができ、タイムリーに新戦略を打ち出せるようになると強調する。

 昨年度(2003年12月期)は、日本独自に「ソリューション・カット(目標とプロセスの設計支援)」というIT企業や一般企業の情報システム部門向けの事業を拡充。今年1月にも、コンサルティング専門の組織として社長直轄の「戦略ビジネス企画開発室」を新設して、各企業のビジネスプランに合った“人財開発”マネジメントを強化するなど、独自路線を歩んできた。事業の拡充では、技術者育成や資格試験の教材およびeラーニングのIT教育コンテンツを持つ国内のIT教育会社との協業を積極化するほか、提携する大手ITメーカーやシステムインテグレータからノウハウを吸収していく考えだ。

 尾藤社長は、「当社は、企業のITスキルを高めるため、現状把握や課題解決策の設定、コンサルティングを行ったうえで、各企業向けにカスタムメードしたIT教育プログラムを提供できる唯一のIT教育会社。企業の事業戦略と長期的に結びつく関係を築くためで、スピードが要求されている」と、大型のIT教育ソリューションの受注を中心に、IP電話や無線LAN、セキュリティなど日本市場でニーズの高いプログラムの開発を本格化する。独立による社名は、グローバルナレッジネットワークのまま変更せず、米本社も日本市場のパートナーとして、世界展開する日本法人向けに支援は継続する方針だ。
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