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アロットコミュニケーションズ 欧州・アジアで顧客増狙う 売上高を前年度比40%増に

2004/11/22 21:15

週刊BCN 2004年11月22日vol.1065掲載

 イスラエルに本社を置くネットワーク監視・制御機器メーカーのアロットコミュニケーションズ(エラン・ジィヴ社長)は、欧州やアジア・太平洋地域でのビジネス拡大に乗り出す。トラフィック管理のニーズが拡大傾向にあるなか、通信キャリアやISP(インターネットサービスプロバイダ)、一般企業などに製品を導入している実績を生かし、各国における販売網の拡大に力を注ぎ、今年度(2004年12月期)売上高を前年度比40%増に引き上げる。

 アロットコミュニケーションズが欧州やアジア・太平洋地域での事業拡大に力を入れているのは、「トラフィック管理市場は年率16%で伸びているが、まだ需要が多く眠っている」(アジ・ローネン・テクノロジーマーケティング上級副社長)ため。08年には、現在の約2倍の市場規模まで拡大するとみており、「ワールドワイドで20拠点以上に支社をもっており、新規顧客をさらに獲得できる」と自信をみせる。

 同社は、ワールドワイドで約200社に帯域管理装置を導入した実績がある。ISPや通信事業者には、導入企業がネットワーク上で不特定多数が個人間で直接情報のやり取りを行えるPtoPを活用して加入者のトラフィックを管理できるほか、アプリケーションの優先順位を決定できるサービスが提供できるシステムを提供する。

 一般企業には、CRM(顧客情報管理)を実現できるツールとして製品を導入している。通信事業者と一般企業に分けた場合の売上比率は各50%。システムインテグレータとパートナー契約を組むことで、さまざまなニーズに対応できる体制を整えている。

 顧客の拡大策については、「パートナー企業との連携を一段と強めていく」という。なかでも、日本ではパートナー数が3社と少なく、通信事業者を中心に顧客を獲得している状況。一般企業向けにビジネスを手がけるパートナーを開拓することも模索している。

 製品については、帯域制御やサービスレベルの保証などを可能にするネットワークアプライアンス製品「ネットエンフォーサー」シリーズの新しいバージョンを今年末から来年早々にかけて発売する計画。新製品群は、「ディープパケットインスペクション」と呼ばれる、アプリケーションやトラフィック(伝送データ量)フローの中身を把握した上で通信を制御できる技術を搭載したのが特徴だ。

 今年度における各地域での売上比率は、米国が40%、欧州が40%、アジア・太平洋地域が20%になる見通し。売上高については具体的な数値を明らかにしていないものの、「米国の売上高の伸びが鈍い一方、欧州やアジア・太平洋地域を順調に伸ばしたことで前年度比40%増になる」見込み。

 米国では、アプリケーションの帯域管理で大手のパケッティアが一般企業への販売に加え、キャリアやISPにも拡販していくことを掲げている。さらに、シスコシステムズがIPサービス管理を手がけるピーキューブを買収するなど、競争がさらに激化することが予想される。アロットは、「サービスプロバイダ分野とエンタープライズ分野の両方でビジネスを手がける強みを生かし、シェアを拡大していく」方針を明らかにしている。
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