中国のネットワーク関連機器大手、華為3Com技術(ファーウェイスリーコムテクノロジー)が日本市場に本格上陸する。ルータ、スイッチを中心に幅広くネット関連製品を手がける同社は、すでに中国市場で33%のシェアを開拓。また、グローバル展開にも積極的で、これまでに世界50か国で導入実績をもつ。そんな同社がいよいよ日本市場に目を向け始めた。中国のIT大手が日本に本格進出するモデルケースでもある。杭州市(淅江省)の本社で、シューシェン・チェン社長兼COOにその意気込みを聞いた。(小寺利典)

日本市場へ本格進出
3年後にはシェア10%に

■世界50か国でビジネス展開

 ──中国のネット関連機器市場が急成長しているようだが。

「中国のGDP(国内総生産)成長率は著しく、昨年は政府が目標にしていた7%前後を大きく上回り、9.5%の成長となった。だが、これをデータ通信機器分野に限ればさらに10%以上の伸びに達し、25億USドル(約2600億円)に成長した。今年からは3G(第3世代)携帯電話サービスの施設整備に伴い、エンタープライズ系を中心にもっと発展していく」

「当社は、中国のネットワーク関連機器メーカーでは第1位で、中国市場で33%以上のシェアを有しており、いずれはシスコシステムズを抜きたいと考えている。昨年度(2004年12月期)の売上高は4億USドル(約420億円)で、前年度に比べ100%の増加となった。現在、世界50か国でビジネスを展開しており、売上高に占める海外の比率は20%ほどある。この比率は近い将来、30%を超える予定だ」

 ──IT分野でグローバル展開する中国企業が、日本市場に独自ブランドで本格参入するのは初のケースとなる。

「日本市場は、ファーウェイスリーコムにとって戦略的市場と捉えている。ハイエンドからローエンドまで全製品をサポートし、市場を開拓したい。日本市場は“難しい市場”と言われるが、難しさはどこでも同じ。もちろん、最初は多くの人が当社の製品を知らないかもしれないが、我々も日本の顧客が求める仕様、文化の違いなどを詳しく調べ、準備してきた。中国と日本は距離的にも近い。(ファーウェイスリーコムの本社がある)杭州と東京、杭州と北京では、同じくらいの飛行時間で行ける。市場の要求を聞きながらローコストで開発していくことは難しくない」


「日本の顧客は品質を重要視するが、これについても十分準備している。かつての中国製品は品質に問題があったが、我々は最初から欧州、米国、日本を意識して製品を開発してきており、品質には自信を持っている。高い品質の確保に向けR&D(研究開発)に力を入れ、従業員の約55%、約1400人が研究開発に従事している。当社の製品は、世界各国の通信キャリアをはじめ、ロシアでは政府系にも導入されている。こうした事例を日本で紹介するとともに、日本でも早期に導入のケーススタディをつくっていきたい。今年は当社にとって、日本市場開拓のスタート年となる」

■まずは2-3社のキーパートナーを

 ──日本でのパートナー戦略について。

「まずは日本で2-3社のキーパートナーを開拓し、4月からの本格展開に備えたいと考えている。すでに、キーパートナーとして(日本における米3Com製品のトップディストリビュータだった)ネットワールド(中村康彦社長)と販売代理店契約を結んでおり、同社と協力しながら毎月、リセラーを増やしていきたい。4月の段階でリセラーパートナー10社以上と協力関係を確立できると見ている。これまでもファーウェイスリーコムは、パートナーと一緒に市場開拓し成長してきた会社で、利益もみんなでシェアしてきた。日本でもパートナーは単なるディストリビュータでなく、“永遠の友達”として同じ目標を目指したい」

「サポート体制については、日本のエンドユーザーの要求を聞きながらパートナーと協力して、サポートセンターを全国各地(69か所)に設けていく。また、研究開発は、中国のR&Dセンターから日本に人を派遣して、エンドユーザーの声を中国での製品開発に反映させていく方針。日本でビジネスが拡大してくれば、日本にセンターを開設する可能性もあり得る」

■1つのブランドで市場開拓

 ──中国では「ファーウェイ」と「3Com(スリーコム)」という2系統のブランドを使い分けているようだが、名前を印象づけるために日本では統一ブランドにした方が良いのでは。

「確かに中国では2つのブランド、ロゴでやっているが、日本では『HUAWEI3COM(ファーウェイスリーコム)』で市場を開拓していく」

「日本でのシェア目標は、3年後をめどに10%を確保したい。我々は中国市場で、それほど時間をかけずに33%のシェアを獲得したし、香港でも33%に達している。今後、我々は日本市場でも急速に発展できると信じている。日本市場はボリュームが大きいだけに、中国のことわざにあるように“みんなで火を上げると、もっと大きな火が上げられる”よう、パートナーと一緒に認知度を高め、ブランドを拡大していきたい」

 ──最後に、次世代インターネットプロトコル「IPv6」に対する取り組みについて。

「日本でも同じだが、中国でもIPv6についてはみんな関心を持っている。現在、中国ではIPv4が主流だが、すでに中国は(インターネット人口の)規模から見てアドレスの数がギリギリであり、また、それだけの問題でなく、次世代3Gに関連して様々な要求が高まってくると予想される。当社では、すでに10年以上も前から次世代プロトコルの研究に取り組んできた経緯があり、02-03年には一部製品をIPv6対応とした。中国はIPv6の先進的なマーケットになると予想されるだけに、我々はIPv6をベーシックな機能として研究に取り組んでいる」

ファーウェイスリーコム

 華為3Com技術(ファーウェイスリーコムテクノロジー)は、中国の華為技術(ファーウェイテクノロジーズ)が51%、米3Com(スリーコム)が49%を出資し、2003年11月に発足した。同時に日本法人「ファーウェイスリーコムジャパン」も設立され、市場開拓への準備を進めてきた。
 昨年末時点の従業員は約2500人(05年には3500人体制へ増員を予定)で、うち約85%以上が大卒者で占める。また、従業員の約55%に相当する約1400人がR&D(研究開発)部門に携わる。北京にある研究所は03年に「CMMレベル4」を取得しており、本社のある杭州にも研究開発拠点を置く。ルータ、スイッチなどのほか、無線LAN、VoIP、セキュリティ対策製品なども手がける。
 親会社のファーウェイテクノロジーズは1988年に設立された純粋な民間企業で、早くからIP技術に注目してきた。