システム開発会社の有志が集まって、沖縄でIT技術者育成のためのNPO法人を設立する準備が進んでいる。育成した人材はNPOの会員企業が優先的に採用できる仕組みとする。就職難に悩む沖縄の学生と、採用難に苦しむIT企業の橋渡しをするのが狙いだ。推進メンバーには、日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会の清水洋三名誉会員や、浅田隆治理事長が参画。来年3月に12社程度の会員企業を集め、NPOとしての活動を始める。

 沖縄にはIT関連のコースを備える専門学校が12校(定員859人)あるが、就職状況は厳しい。このため、IT企業が共同で専門学校の2年生を半年間預かり、即戦力型のIT技術者教育を施して社員として採用するのが全体の構想。「NPO法人ITキッズ」という名称で、11月1日に申請手続きを行った。

 教育カリキュラムは、元東京工業大学助手の久慈要氏(アイ・ブレーンズ代表)が作成した中学卒業生向けのIT早期教育プログラムをもとに、大学教授やIT企業の技術者が中心となって構築する。

 前半の3か月はIT教育だけでなく、ビジネス社会の常識や知識を学ばせ、後半の3か月は会員会社から提供された開発案件で、OJTによる実戦型の開発スキルをたたき込む。

 事業推進事務局の角坂裕氏(ケイ・オペレーション)によれば、「専門学校の教育は、プログラムの概論的な知識で終わってしまうが、半年間OJTで学ばせることで即戦力として本当に使える人材を育成できる」という。

 初年度は沖縄の専門学校3校から40人の生徒を選考し、2年生の後半から独自の教育研修をスタートさせる。企業側は、アルゴ21、ネクストウェア、ニスコムなどの在京企業と沖縄のオーシーシー(OCC)など8社が会員会社に名乗りを上げている。

 会員会社は年間24万円の会費と内定1人あたり60万円の教育研修費を負担しなければならないが、技術系の新卒採用が完全な売り手市場となっている状況では、決して高い投資ではなさそうだ。沖縄県や那覇市も、IT関連の求人拡大への期待が強く、教育用に公的な施設の提供交渉も進んでいる。

 会員企業の拡大や研修施設の確保などの条件が整い次第、2年次から順次生徒の受け入れ人数も拡大していく計画。

 「インドや中国でのオフショア開発が増えているが、通訳や間接要員などの経費も含めれば、1人工(1人あたりの工数)の開発費は50万円を超えている。それに比べれば沖縄での開発コストは決して高くない。将来的には、会員会社の共同開発センターを沖縄に設けて、沖縄版オフショア開発の拠点をつくることも夢ではない」(角坂氏)。

 求人側と学校側の双方の利益を一致させた新しい試みが、どこまで拡大できるか、関係者は来年2月のNPO設立に向けて夢を膨らませる。