東北を代表する独立系SIerのワイズマン(南舘伸和社長、岩手県盛岡市)は、介護・福祉事業所向けのASP(アプリケーションの期間貸し)提供の拡大を目指す。同社は2005年4月に介護保険システムASPサービスの試験運用を始め、8月には本格サービスを開始している。同社の介護保険システムのユーザー数は約1万3000で、このうちサービスインから2か月経過した段階で400ユーザーがASPサービスに移行した。06年3月末には採算ラインを超える900ユーザーの獲得を見込む。来年4月には介護保険施行規則の一部見直しが予定されているだけに、法律や規則の変化への対応が容易なメリットをアピールして、ASPサービスへの移行を促していく。

06年4月の制度見直しを機に
来年3月末に約2倍の900ユーザーに

 同社が介護・福祉事業所向けに納入した1万3000システムは国内市場では最大級。全国にユーザーが拡散していることで、保守サポート面の対応が課題になっていた。介護保険の分野では、保険適用者1人ひとりの情報量が多く、また個人情報保護法により運用管理面のセキュリティ強化が求められている。

 同社は、ユーザーの負担が大きいバージョンアップやバックアップに絡む作業を減らし、効率的なサポート体系を構築するため、ASPサービスに乗り出した。システムはシトリックスのメタフレームをベースとし、最大で同時に8000アクセスに対応できるようにした。既存のシステムユーザーに違和感を与えないように、従来のアプリケーションをそのまま利用するようなユーザー・インタフェースを備えており、ASPサービスに移行したユーザーの評価も高いという。

 介護保険のような制度では、運用規則などが頻繁に変更される。介護保険では05年10月に居住費用や食費が見直されたが、06年4月には、1号保険料の改定、介護サービスの適正化、事業者の情報開示の標準化、事業者規制の見直しなど一連の施行規則の見直しが行われる。このような法律や規則改正の場合でも、ASPサービスならサーバーに格納されたアプリケーションを手直しするだけで済む。導入顧客ごとのメンテナンス対応が必要なくなることで、その労力を訪問回数のアップなど顧客サービス向上に振り向けることもできる。

 また、これまでのパッケージ販売では売り切りが基本だったのに対し、ASPサービスとしたことで、継続的に使用料を徴収でき安定的な売り上げを実現できる。

 同社では、来年4月の介護保険制度の一部見直しに対応して、06年3月末までには900ユーザーがASPサービスを利用すると予想。この段階で、「ASPビジネス単独で黒字化できる」(松浦千尋・ワイズマン経営企画部部長)見込みだ。

 ブロードバンドの整備状況なども影響するため、当面は新規ユーザーおよび既存ユーザーに対しパッケージの販売とサポートはこれまで通り行う。しかし、ASPサービスの利便性を訴えることで乗り換えを図るユーザーも増えてくることから、「3年後には50%のユーザーがASPサービスを利用することになる」(餘目司・ワイズマンASP事業統括部部長)と見通している。

 今後、来年に改正される介護保険制度だけではなく、様々な分野で法律改正などによるシステム更新の煩雑さを取り除くためにも、IDCなどを活用してASPサービスを利用することが行政や公共分野で拡がる可能性が高い。