【厦門発】2006年が明けて間もない1月17日、中国・福建省の厦門(アモイ)市の産業パークで、液晶パネル製造と液晶TV組み立ての2件の投資プロジェクトに関する契約調印式が行われた。これらの大規模投資に踏み切ったのは誰か。またその背景は?

 日本では05年、液晶TVの出荷台数が422万台に達した。398万台のブラウン管(CRT)TVをついに逆転し、液晶がTVの主役になったことを印象づけた。

 一方、中国ではCRTTVの市場が年間3400万台、生産台数は輸出向けを含めて8000万台で日本のような逆転現象が起きるのはまだまだ先のように思われる。

 しかし06年が明けて間もない1月17日、福建省・厦門市の翔安地区にあるハイテク産業パーク「火炬高新区」(たいまつハイテク新区)で、そんな逆転の日が意外に早く訪れるかもしれないと思わせるシーンを目にすることができた。

 中国の大手家電メーカー「厦華電子(以下「厦華」)」と台湾の有力パネルメーカー「中華映管(以下「華映」)」が、産業パーク管理委員会との間で、それぞれの投資に関する意向書の調印セレモニーを行った。実は厦華は、その2週間ほど前の05年12月30日、華映が自社の筆頭株主になったと発表した経緯がある。華映は中国における液晶モジュール製造子会社「華映視訊(江蘇省・呉江市)」を通じて、厦華の発行済み株式32.64%を取得したということだった。資金繰りに窮していた厦華が、華映の資本を受け入れたことにほかならない。

 つまり1月17日に調印式が行われた2つのプロジェクトは、共通の意図に根ざしたものだったということになる。厦華のプロジェクトは50万平方メートルの敷地に年産1000万台の液晶TV組み立て工場を建設しようというもので、投資総額は約13億元(約190億円)。

 一方、華映のほうは60万平方メートルの敷地に年産500万枚のTV用TFTパネルの生産拠点を設置するプロジェクトで、投資総額は約2億ドル(約230億円)。

 両プロジェクトを合計すれば、敷地面積110万平方メートル、投資総額約420億円という大規模投資ということになる。むろん、中国では最大級の液晶(パネル+テレビ組み立て)基地だ。

 調印セレモニーに臨んだ華映の林鎮弘会長は、「今回の資本参加によって、われわれ双方は一致協力して『厦華』ブランドを育てていくことになるだろう」と語り、中国の液晶TVのブランドとしては「ハイアール」や「TCL」と並ぶ有力ブランドに育ちつつある厦華のブランディングに注力していく意向であることを明らかにした。

 パネルとTV組み立ての両プロジェクトは、工期がともに2年。したがって08年初めには本格稼働に入ることになる。北京オリンピック需要が視野に入っていることはいうまでもない。
(森山史也=サーチナ総合研究所リサーチャー)