RFIDなど電子タグと連携したシステムの国際標準規格を決める動きが出てきた。経済産業省は、ミドルウェアなどソフトウェア中核部分の技術規格を策定するプロジェクトチームの設置を検討しており、早ければ06年度(07年3月期)早々に動き出す予定だ。電子タグの実証実験は、今年度末に向け相次ぎ実施されている。トレーサビリティに加え、ICタグを活用することによる新サービスの創造、国際連携も視野に入れた実験が好結果で終われば、電子タグを導入する企業が相次ぐ可能性が高い。そのため経済産業省では、システムを提供する側の技術規格も標準化することが電子タグを一段と普及させるための策と判断したようだ。

 経済産業省が取り組む予定の電子タグシステムに関するソフトウェアの標準化は、「電子タグの普及を促す」(森田和敏・商務情報政策局情報経済課係長)ことを目的としている。「これまでは、商品コードの標準化や、どこに電子タグを付ければ最適かを調べることに重点を置いてきたため、ハードウェア寄りの取り組みだった。今後は、電子タグシステムの開発も含めたソフトウェアの標準化を進めていくことが重要」と判断した。

 具体的な標準規格については今後詰めていくものの、「データ処理などコアな部分の標準規格を策定して、ISOに提案する。そのためITベンダーから要員を募ってプロジェクトを設置し、電子タグを導入した企業からの意見もとり入れて標準規格の仕様を固めていく」方針を打ち出している。

 電子タグの活用分野が多岐にわたるため、プロジェクト要員は特定の業界に絞らず、横断的な構成となる見通しだ。

 経済産業省が主導して進めてきた実証実験は、昨年度まで物流や小売店などでの業務効率化に関する案件が中心だった。今年度は、基幹系システムとの統合や連携を図ることでトレーサビリティを可能とする「産業構造改革型」、電子タグで実現できる新サービスの可能性を見据えた「新産業創造型」、商品流通の効率化を視野に入れ、卸事業者から小売事業者まで共通基盤のシステムを構築することになる「産業連携型」、アジアを中心に国際標準に準拠した電子タグシステムの導入を促進させる「国際連携型」の4テーマに該当する案件を公募。58案件のうち8件を選択しだ。

 物流や小売店での効率化を図るための実証実験では、8メートル程度まで読み取れるUHF帯の電波方式を使った。この結果、「物流では読み取り率が98.9%、小売店での万引き防止では100%読み取れることが分かった」という。

 この実証実験を踏まえ、「電子タグの普及を促すためには、単にバーコードの進化系として捉えるのではなく、電子タグならではの可能性を引き出さなければならない」とし、「今年度は、これまでの取り組みをより進化させる実験結果を導き出せるはず」としている。

 今年度の実証実験によって、企業の導入機運が高まれば、メーカーやSIerなどによる電子タグシステムの開発も活発化する。こうした動きを加速させる意味でも、国際標準に準拠した技術規格策定のメリットは大きい。

 なお、普及のカギを握る電子タグのコストについては、価格低減に取り組む「響プロジェクト」で、単価を5円まで下げるための研究開発を進めている。06年7月末までに終了する予定で、「価格低減を実現して、今年中には安定供給体制を構築できる」としている。