SIerのアディ(石川純生社長)が国内一次代理店として販売するシンクライアント用のミドルウェア「アーデンス」が売れている。セキュリティ強化の需要拡大を受けて今年度(06年9月期)のライセンス販売本数が、前年度比3倍強の2万クライアント相当分に増える見通しだ。

 アディでは、これまで国立大学など教育機関を中心に「アーデンス」を販売してきたが、昨年夏頃から企業向けの需要が急速に伸びてきた。企業向けのオプション機能を増やしたのに加えて、「シンクライアントに対する需要が伸びた」(石川社長)ことが原動力になった。ファイル交換ソフトのウィニー問題が表面化し始めてから政府機関や自治体向けの引き合いも急増している。

 アーデンスはパソコンのOSを格納してあるCドライブを仮想化してサーバーに収容するミドルウェアで「ネットワークブート型」と呼ばれている。パソコンを立ち上げるとサーバー側の仮想Cドライブにデータを読み取りに行き、その後の処理はクライアントパソコンに搭載してあるCPUやメモリを活用する。これによりサーバーの負荷が大きい従来の画面転送型の課題を解決した。

 他方式のシンクライアントであるブレードPCに比べて初期導入コストが低く、画面転送型に比べてサーバーへの投資額が少ないのが特色だ。既存のアプリケーションとの互換性も高い。これまでアーデンス方式はサーバーとパソコンの接続速度が100Mbps以上と高速環境が必要である点がネックとされたが、最近のLANの高速化により解消されている。

 情報が詰まったハードディスクドライブ(HDD)は集中型、CPU負荷の大きい演算は分散型と双方のメリットを採用。ユニークなアーキテクチャを採用していることから国内ではNECや日本ヒューレット・パッカードなども販売している。故障頻度が高いHDDを搭載していないため、パソコンのリース期間を「通常の4年から6年へと延ばすことも可能」(吉田博直・取締役営業担当)で、運用コストの削減にもつながる。

 企業向けパソコンについては、今後2年間で全体の1割程度がシンクライアントへ移行すると見られている。引き合いの強さからアディでは2007-08年頃までに「年間20万本以上のライセンス販売も夢ではない」(吉田取締役)と、アーデンスの拡販に手応えを感じている。最終的にはシンクライアント市場全体におけるミドルウェアの販売ベースで20-30%のシェア獲得を目指している。