【北京発】中国のブロードバンド通信市場はひとつの技術に制覇されるのか、それとも多くの技術が競合するなかで発展していくのか。はたまた相互に補充しあう道を探ることになるのか。中国のブロードバンド通信市場の最新情勢をリポートする。

 中国では第3世代(3G)ネットワークとその他の無線ネットワークの融合が注目を集めている。

 ひとつの携帯電話端末で、会社ではWLAN(無線LAN)を使用し、屋外では3Gネットワークのサービスを受け、家の中ではBluetooth(ブルートゥース)で電話をしたり地上デジタル放送を受信したりできる。しかも、シームレスネットワークによって通話の途切れを心配する必要もない。チップメーカーが各々の技術を融合させることで、こういった光景も夢物語ではなくなってきた。

 業界は、2010年に中国で主導権を持つとされるワイヤレス通信技術について、どうみているのだろうか。

 中国の業界紙である「中国電子報」が紹介した業界調査によると、WiMAXが46%、WiFiが31%、3Gが23%という結果となった。中国では08年にも3Gサービスが開始される予定だが、3G単体というよりは、むしろその他の無線通信ネットワークとの融合によってもたらされる多彩なアプリケーションこそが、ユーザーの獲得につながるだろう。

 WiFiの高速データ伝送を利用すればデータ伝送加速率の不足を補うことができ、3Gネットワークと結びつくことで、複数の通信方式との切り替えを行うことができる。こうしたネットワークの相互利用により、通信キャリアは業務量を拡大させることができると考えているようだ。

 また、3GとWiMAXの融合に対する業界の関心も高い。WiMAXは3Gに比べてコスト的に安く、また許可不要の周波数帯を利用することができるので、通信キャリアの中で広く使用することができる。例えば、新たに開発された集合住宅エリアに対しては、全体をカバーするネットワークへの接続によって音声、データや映像を提供する。広域の都市部に対しては、都市部全体につながるホットスポットを使用するという具合だ。

 中国の「中興通訊(ZTE)」社・携帯電話事業部の何士友・総経理(ゼネラル・マネージャー)が「3Gと各種無線ネットワークの融合の仕方はそれぞれ長所があり、現段階でどの技術が進んでいるということはできない」としているように、今は形成段階にあるとみてよい。どの融合方式を採用するかにかかわらず、その多くはやはり相互補完の関係で、それぞれに優劣を備えた関係にあるといえよう。最先端の技術というものは単純に「良い」「悪い」で分けることはできないものなのだ。

 当然、ユーザーにとってみれば自分が使用しているのがどの無線ネットワークであるかは問題ではなく、通話代が安く、優れたサービスを受けることさえできればよい。「シーメンス通信網絡」の関係者は、「3Gとその他の無線通信方式の融合とは差別化競争のことであり、もしその融合が新サービスの提供や費用面でメリットを打ち出すことができないなら将来性はない」と断言する。

 欧米や日本といった通信先進国では、WLAN、WiMAXなどの無線ネットワークと3Gネットワークの融合による商業化が、すでに大々的に進められている。中国の情勢はまだ明らかになっていないが、業界各社による技術の開発や蓄積は相当に進んでいる。
森山史也(サーチナ総合研究所)