富士通(黒川博昭社長)は自治体向けビジネスの転換を急ぐ。平成の市町村大合併に伴う特需で潤った昨年度までとは異なり、今後は自治体ビジネスの需要傾向が大きく変わる可能性が高い。たとえばITを活用した業務効率化などのBPR(構造改革)需要はすでに一部で顕在化しているようで、同社ではこうした合併特需に代わる新たなビジネスチャンスを確実につかんでいくことによって業績伸長を目指す。

 第1四半期(06年4-6月期)の自治体向けビジネスは、ほぼ前年同期の水準を維持しており、「年度の立ち上がりを見る限りでは自治体のIT需要は衰えていない」(自治体ソリューション事業本部の西原寛治・営業統括部長)とみている。

 昨年度までの2年間の売り上げは、合併ビジネスの追い風が吹いたことで前年度に比べて1割程度多い傾向が続いた。今年度に入っても前年度並みの高い水準で受注できている背景として“自治体の2極化”を挙げる。

 市町村合併を経て巨大化した自治体が新たに富士通のような大手ベンダーの顧客に加わる一方、小規模な自治体の数が相対的に減った。小規模市町村をメインターゲットとしている中小のITベンダーは顧客が減り、中規模以上の自治体を中心顧客とする富士通にとって市場は追い風となった。

 メインのビジネスも変化してきている。合併関連のシステム統合特需のピークは過ぎ、今後は合併して肥大化した自治体の「BPRが焦点になる」と予測する。各セクションの庶務業務の統合化や民間企業への業務委託など自治体運営にかかる総コストを削減する手段としてITのさらなる導入が進行。自治体の一部ではBPRによるスリム化需要が顕在化していると分析している。こうした需要をうまくつかめば今年度通期の売り上げにおいても前年度と同水準の維持が可能だと見る。

 IT業界において注目を集めているメインフレームのオープン化やオープンソースソフト(OSS)の導入は主にITシステムの維持費削減効果を期待したものだ。しかしITシステムの維持費はそもそも自治体の総予算のごく一部にすぎず、効果は限定的と考える。人員整理も含めた自治体運営の「総コスト削減を達成するためのIT投資が活発になるのではないか」と、BPRに軸足を置いたビジネスを展開していく方針だ。