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野村総合研究所 運用管理の内部統制に対応 「千手ファミリー」の履歴管理強化

2006/08/14 17:59

週刊BCN 2006年08月14日vol.1150掲載

需要拡大のタイミングを狙う

 野村総合研究所(NRI、藤沼彰久社長)は情報システムの運用管理ソフト「千手ファミリー」の内部統制対応を進める。今年度(2007年3月期)末までに運用管理にかかわる履歴管理機能などを強化した製品群を投入する。内部統制を支えるIT基盤の整備に着手する上場企業が来年度から急増すると見られており、こうした需要を捉えることで事業拡大を図る。

 監視機能などを備えた千手ファミリーは情報システムの動作状況をリアルタイムに把握できるものの、過去にさかのぼって運用管理の履歴を調べる機能は弱かった。内部統制の観点から見ればどのような運用管理がなされたのかという“証跡”を残しておく必要があり、従来の状況把握だけではカバーできなくなってきた。

 このため新バージョンでは誰がどのような作業を行い、誰が承認をしたのかなど内部統制上必要と考えられる証跡を残す機能を充実させる。過去にさかのぼって運用管理の状況を容易に調べられるようにすることで内部統制への対応を強化する。具体的には基幹システムにアクセス可能な端末や経路、アクセス状況などを記録し、こうした作業を誰が承認したのかも分かるようにする。

 承認や証跡を記録せずに開発部門がプログラムを改変・更新したり、運用担当者がアクセスしたりすることは、「内部統制の観点からみれば許されなくなる」(渡辺浩之・千手サービス事業部長)と予測。情報システムの維持運用についても統制の仕組みが求められていると指摘する。

 直近ではNRIによる直販が関連売上高の過半数を占めるが、「顧客への提案方法などの売り方をパターン化」していくことでSIerなどを通じた間接販売も増やしていく。

 内部統制の強化を巡っては多くの企業が今年度中に基本設計を行い、来年度から詳細設計や試験的な運用フェーズに入る見込みだ。運用効率や精度を高めるために運用管理システムなどのIT基盤の整備が今後活発化すると見られており、こうした需要を積極的に取り込む。

 千手ファミリーに関連するライセンスやサービスの売上高は昨年度約49億円だったが、新製品の投入や販売チャネルの拡充などを推し進めることで08年度に100億円を目指す。
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