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電通国際と日本HP OSS環境で大型案件獲得へ 日本発の「Seasar2」を利用

2006/08/26 17:59

週刊BCN 2006年08月28日vol.1151掲載

 電通国際情報サービス(ISID、水野紘一社長)は、同社が開発した日本発の次世代Java(J2EE)開発用フレームワーク「Seasar2(シーサーツー)」を利用したオープンソースソフト(OSS)環境の大型案件で、日本ヒューレット・パッカード(日本HP、小田晋吾社長)と協業を開始した。両社は、OSSとHPのサーバー、ストレージ製品と組み合わせた共同検証を実施してデータを公表することで、導入企業が安心して導入できる環境をつくる。また、日本HPは、サーバーを導入する際に同フレームワークを利用することで、OSS環境でも短納期で低コストなシステム開発を提供できるという。両社で金融業界や製造業界などをターゲットに大型案件の獲得増を目指す。

 「Seasar2」は、DI(依存性注入)やAOP(アスペクト志向プログラミング)など最新技術を導入した開発用フレームワーク。従来、活用が進んでいた開発フレームワーク「EJB(Enterprise JavaBeans)」の複雑性を克服するために開発されたOSSである。ISIDは、昨年11月に「Seasar2」の商用サポートを開始し、今年4月から専任の組織を立ち上げ、IT業界に積極的な採用を促す活動を進めている。

 今回の協業では、第一段階として、両社でOSSとHPのサーバーやストレージ製品などを組み合わせた共同検証を実施。

 「さまざまなOSやデータベースなどを搭載した場合のパフォーマンスなどを調べ、データにして公表する」(ISIDの飯田哲夫・金融ソリューション企画部シニアコンサルタント)ことで、開発リスクなど、OSSを導入する際に企業側で抱く不安を解消する。

 次段階としては、このデータやこれまでの「Seasar2」導入事例などに基づく、インフラ提案サービスや構築支援サービスを共同で提供するほか、導入後の修正など運用・保守サポートや認知拡大を狙う共同マーケティングを開始する計画だ。

 日本HPは、x86サーバーやHP-UXサーバーなどとOSSを搭載したシステム構築を、「Seasar2」を利用して効率化することで、金融業界などの大型案件でシェア拡大を狙う。また、「Seasar2」とOSSのウェブアプリケーションサーバー「Tomcat」などを組み合わせた動作検証を、HP-UXやLinux環境で行う。「Seasar2」の開発者であるISIDの比嘉康雄・統括マネージャーは「大企業の情報システム担当者や日本HPがシステム開発で利用すれば、開発コストが大幅に下がり、OSSを扱う不安要素も取り除ける」と、日本HP以外の大手SIベンダーにも採用を促す。

 「Seasar2」は、三菱東京UFJ銀行の大規模リスク管理システムを構築する際に採用されたほか、パッケージソフト開発にも利用されている。
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