【北京発】7月21日、中国でMSNビジネスを運営している上海美思恩網絡通訊技術有限公司は、MSNメッセンジャーの悪用対策と、スパムMSNアカウントとスパム送信元の疑いのあるウェブサイトリストを、公式サイトで開示した。同社はすでに苦情申立専用サイトを用意しており、情報を確認したうえですぐにサーバー側でフィルタアウトを行うと宣言する一方、ユーザーに対しては、不審な相手を安易にバディリスト(友人リスト)に入れないよう要請している。

 中国では今年に入り、マーケティングや販促のために、MSNメッセンジャーを悪用するものが大量に増えている。私もMSNメッセンジャーの利用者の一人だが、ログインするたびに、知らない人からバディリストに追加されたというメッセージを受ける。以前、私はMSNワームに感染した経験があるので、そうしたメッセージはすぐに削除するが、大いに迷惑を被っているのは確かだ。最近、周りでも同じ苦情を口にする人が多い。「晨報」6月20日の報道によると、「中国縁」という交際サイトがプログラムを組み、自動的にMSNメッセンジャーユーザーに大量のスパムを送っていたことがわかった。

 WindowsメッセンジャーはWindows XPの登場とともに2001年から中国で普及し始めた。その上位版であるMSNメッセンジャーはさらに便利な機能があるため、ユーザーに大人気を博している。「計算機世界日報」の数字によると、今年第1四半期の中国におけるMSNメッセンジャーのユーザー数は2500万人を超えた。汎用ツールソフトウェアのひとつの傾向として、ユーザーが増えるにつれてメディア効果は著しく大きくなる。まず、MSNを利用して自分の主張などを表明する人が出てきた。自分なりのMSN名を付けることも、あっという間に流行った。

 MSNメッセンジャーAPI(Application Program Interface)が公開された後、電子辞書サービスプロバイダ、地図情報プロバイダなどはメッセンジャーロボットプログラムを組み、メッセンジャーを介してサービスを提供している。例えば、上海市でよく使われている「丁丁地図」というMSNロボットは、ビル名や道路番号などの行き先情報を送信すると、詳しい地図と関連情報を含んだウェブページURLを返信してくれる。これらのサイトへのアクセスは短期間で急速に成長しており、大きな成功を収めている。こういったケースから多くの経営者は啓発され、メッセンジャーの広告価値を開発し始めた。これがメッセンジャーロボット氾濫の背景である。そして、有用なサービスだけでなく、スパムを送りつけるような業者も現れた。報道によると、MSNメッセンジャーユーザーのおよそ9割はスパムを送付された経験があるという。

 メッセンジャースパムのほかに、メッセンジャーワームによる被害もよく耳にする。例えば、知り合いからあるファイル(実行ファイルが多い)を送信されると、初心者の場合、恐らくためらいもなく受け取ってしまうのだろう。その結果、ワームに感染してしまう事例が頻発している。マシンに侵入したワームはMSNバディリストの連絡先にファイルを送信し続け、相手のマシンにも感染する。私のMSNメッセンジャーワームによる被害の経験は未だに忘れられない痛みだ。単に迷惑をかけるワームのほか、個人情報を盗んだり、データを壊したりするウィルスもある。

 中国では現在「文明的なネット運営」活動期間中にあたり、わいせつコンテンツ、残虐コンテンツをネットから除去する活動が行われている。しかし、それ以外にも、ウィルス、スパム(メール、メッセンジャー)、個人情報漏えい、著作権侵害といった問題にも注目しないといけないと思う。MSNメッセンジャーの悪用は、氷山の一角なのだ。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所所長、Shanghai@accs.or.jp)