【北京発】デルチャイナの代表取締役ディビッド D. ミラー(中国語名=麦大偉)の辞職が明らかになった翌日(8月17日)、レノボがアジア太平洋担当プレジデント兼グループシニアプレジデントとして彼の名前を発表した。業績不振を理由にトップを頻繁に交代させるデル。対してデル出身の重役を積極的に招き入れるレノボ。軍配はどちらに上がるのか。

 今回のトップ交代劇は、現レノボCEOのウィリアム J. アメリオ氏が、デルを辞めた時の状況と似ているような気がする。デルのトップを解任されたミラー氏は、レノボではCEO直属でシンガポールを拠点に、所轄地域のセールスやサポートなどすべてにわたって統括管理するという。

 また、デルジャパンホーム&ビジネスセールス事業本部統括事業本部長と宮崎カスタマーセンター・マネージング・ディレクターを兼務していた天野総太郎氏が、レノボジャパンの代表取締役社長として迎えられた。

 IBMからPC部門を買収した後、レノボは国際化の歩調を速めており、早急に指標を立てなくてはならない。低コスト・有効なマーケティングで中国市場において1位であるレノボだが、世界市場ではまだ未熟だ。そういう意味で、レノボがデルの長所を取り入れるために重役を招くことは、一番の特効薬だろう。アジア太平洋市場はレノボの国際化の第一ステップであるし、中国市場から一歩踏み出してデルに決戦を挑んでいるように見える。

 ミラー氏のデル退職は販売目標を達成できなかったためだそうだ。だが、彼の退職は、前任者の符標榜氏の退職事件からわずか2か月後であった。世界で無敵のデルは、中国市場でレノボという強敵に遭遇した。

 IDCの数字によると、中国市場においてレノボは35%のマーケットシェアを誇り、デルチャイナの実に3.1倍である。デル経営陣にかかるプレッシャーは想像に難くない。海外から派遣されたトップは中国事情が分からないという懸念があったためか、ミラー氏の後任として、ローカル出身の劉峻嶺氏と閔易達成氏がそれぞれデルチャイナとデル香港のトップに任命された。この2人の努力がデルチャイナをどのように変えられるかが注目される。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所所長、Shanghai@accs.or.jp)