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日本システムウエア RFIDを中核事業として展開 ハード、ソフト開発の両面で訴求

2006/09/25 18:02

週刊BCN 2006年09月25日vol.1155掲載

 日本システムウエア(NSW、中島秀昌社長)は、自社のLSI製品向けソフトウェア開発など得意技術を生かし、RFID(ICタグ)事業を強化する。今年に入り、ICタグの量産が可能になるなど、「成長期前半に来た」と判断。リーダ/ライタ機器やICタグの設計、開発に加え同社のソフト技術やデータセンター機能を絡めたRFIDソリューションの提供や、ICタグを読み取るLSI製品への技術供与などを加速させる。昨年10月に社長直轄の新規事業として「RFIDプロジェクト」を新設、今年4月には全社横断の「事業開発推進本部」を組織し、RFID事業を中核に位置づけた。同事業だけで、2008年度(09年3月期)に20億円の売り上げを見込む。

 NSWは、RFID関連製品の導入が拡大している製造、流通業界を得意分野とし、大手量販店や全国展開する小売業の顧客を抱える。長年のシステム構築実績のある流通業を中心に、関連する物流業などに対し、高度なRFID技術や独自性のある同社ソフト、データ関連のシステムを預かるIDCなどを組み合わせRFIDソリューションを提供する。また、LSI製品の組み込みソフト開発での実績を生かし、リーダ/ライタなどのRFIDデバイスの設計・開発を手がけていく。

 昨年10月には、RFID関連の開発ベンチャー、テレミディックと業務提携。同社のICタグを1つの機器で読み書きできるLSI製品やICタグを強固なセキュリティ環境下で処理できるボード製品「Micro-MAO」やそれに関連する技術などを、NSWに提供する。NSWは、テレミディックの技術を自社のRFIDソリューションに組み込み提供するほか、周波数帯の選定を含めたRFIDコンサルティングや自社デバイス開発で使用する。

 「Micro-MAO」に各種ミドルウェアを組み合わせパッケージ化したものは、すでに実用段階にあり、ピックアップ情報管理システムとして宝飾店や小売店の陳列棚に導入されている。同システムは、商品が陳列棚から離れたイベントを検知して、来店客が商品を購入しなくても、どれだけ手にしたかを把握して、マーケティング情報に役立てられる。

 また、リーダ/ライタ機器など、RFID関連の端末開発では、「メーカーから相談が複数きている」(小松政博・事業開発推進本部RFID事業部事業部長)と、社内の各事業本部と連携して案件を発掘していく計画だ。

 RFIDソリューションは、約6割が流通業などに強みをもつSIerなどと連携して納入してきた。「昨年度は既存顧客に対する提案が中心だったが、今年度からはSIerなどと新規顧客の開拓を強化している。案件も流通や物流業だけでなく、幅広い用途で部分最適を目的に段階的に導入する例が増えている」(小松事業部長)という。

 同社のRFID事業は、昨年度の売上高が約5億5000万円、今期は7億円を計画。08年度には、今期の約3倍になる20億円を見込んでいる。
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