【上海発】今年10月、中国第2位のテレコム会社であるユニコム(聯通)がインスタントメッセンジャー(IM)ソフトウェアをリリースし、10月28日から内部テストを始めたというニュースが報道された。同ソフトウェアは「超信」といい、競争相手であるチャイナモバイル(中国移動)の類似ソフト「飛信」よりも早く市場に出るかもしれないという。字面からも、「飛信を超える」というユニコムの意図がはっきりみえてくる。

 ユニコムの動きに対し、ライバルのチャイナモバイルは、すでにIMソフトの開発を始めている。正式名称を「飛信─中国移動即時通」とし、6月からベータ版テストが始まっている。IMツールとして、PC同士でのチャットはもちろん、PCと携帯電話の間でのショートメッセージによるチャットもシームレスにサポートするほか、音声チャット機能も付加したのが最大の特徴である。「飛信」のユーザーの一人が通話中にしていれば、「音声チャット」ボタンを押すと、携帯電話でのチャットが可能となる。実際に使ってみたところ、普通の携帯電話同士の会話と変わらず、ほかのIMよりはるかに良好な通話品質を実感した。しかも、最大8人まで参加することができ、さながら小会議といった感覚である。

 中国のIM市場においては、QQ、MSNメッセンジャーがトップランナーだ。エンドユーザーを握ることができるため、この市場に参入する会社は後を絶たない。従来、この市場はドットコム会社によって握られていた。そのうえ、IM運営会社とテレコム会社の連携はずっと以前から始まっている。IMを使って友人の携帯にメッセージを送信するのは、ごく普通のことであり、携帯にバンドルすることでwin-winの結果がもたらされていた。しかし今、情勢は一変。テレコム会社が市場に参入することになり、競争が一気に激化することになる。

 実は、テレコム会社の実力は想像以上に強い。チャイナモバイルでは、かなり厳しい手を打ち出している。まず、6月1日から、携帯電話向けのサイトにチャット関係の業者を増やさないことを決定した。さらに、現在のIM運営者との提携は今年末以降すべてストップする。こういう状況が続いていくと、PCを使って携帯ユーザーに連絡したい人は、いつかきっと従来のIMから離れるだろう。テレコム会社間の激しい戦いも避けられない。いずれにしろ、IM市場はシャッフルされるだろうといわれている。

 しかし一方で、テレコム会社の参入は、従来のIMを市場から排除することではなく、3G時代を狙っているという見方もある。IMをマーケティングプラットフォームとして、携帯による写真の送受信、着信メロディ、ブログ、TV放送などのアプリケーションを増やしていけば、テレコム会社には、より多くのメリットがもたらされるだろう。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所所長、Shanghai@accs.or.jp)