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米国 オンライン・クリスマス商戦2006 実店舗より商機が長く続く インフラ整備で活況呈する

2007/01/22 19:36

週刊BCN 2007年01月22日vol.1171掲載

【ニューヨーク発】クリントン前大統領が高らかにうたった「オンライン・クリスマス」の始まりは1999年。ミレニアムを迎える市場は沸き立ち、ようやく普及し始めたインターネットでのショッピングには誰もが大きな期待を抱いた。しかし99-00年のギフト商戦は、結果として多くのオンラインショップの破綻を引き起こし、一方で実店舗を持つ大手チェーン店のネット界での台頭を招いた。あれから7年。今やネットは当たり前のインフラであり、景気も回復傾向、条件は整ったといえる。「ブラックフライデー」の翌週月曜日はいまや「サイバーマンデー」と呼ばれるほどになっており、ネットでの購買が一般化してきている。

 米ComScore社によれば、06年11月1日から12月5日までのオンラインショップの売上高は136億8000万ドル。これは前年同期に比べ25%増にも達する。セールが一段落したとみられていた12月4日には、1日の売上額としては史上最高の6億4700万ドルを記録した。目的のものをいかに楽に入手できるかという考えが前面に出た場合には、オンラインショップの実店舗に対する優位性は明らかだ。ネットインフラが当たり前のものとなり、生活に密着するようになればなるほど、購買は活発になり、多様な商品が実店舗同様に取り引きされるようになってきている。

 売上増加の別な要因として、オンラインショッピングのピークが実店舗より長く続く点も指摘されている。The Street.comや、Nielsen Netratingsなど各種のオンライン調査機関はもとより、販売業者側であるYahoo!やeBayなども、実売業者のクリスマスセールが始まる前からすでにオンラインショップでの購買が増えているという調査結果を発表している。このように、オンラインショッピングの場合は、実店舗よりも早く商戦が始まり、その時期が長く続くことが特徴だ。

 また、オンラインショッピングへの傾倒が加速されることとなった理由として、高価なIT機器類がギフトの目玉に定着してきたこともあげられる。特に商戦の中心的存在となった30インチ以上の大型液晶テレビは、その重量や梱包の大きさなどからオンラインでの購買にも拍車がかかり、実店舗での販売も含め売上高で20%以上、販売台数では300%近い伸びを示した。

 一方で懸念される点も多い。購買が増えるこの時期にはやはりスパムメールも増え、被害額も高額となる傾向がある。具体的な被害額の確認には今しばらくの時間が必要とされるが、ここ数年のフィッシングメール被害の伸びを見る限り、その増加傾向に歯止めがかかった節はない。今後も売り上げが伸びるにつれ、この問題はさらに大きくのしかかると考えられる。
田中秀憲(ジャーナリスト)
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