【上海発】4月18日、世界銀行が北京大学で発表した「中国における情報革命:経済と社会の変革を推し進める」という報告書が論争を引き起こしている。同報告書によると、ここ10年間、中国の情報産業はGDP成長率の2-3倍の伸びを示しており、経済発展の原動力になりつつあるが、情報インフラの使用料が高すぎること、法整備が不完全なこと、海外の技術に頼りすぎること、人材が欠乏していることの4つの障害に直面しているという。中国のインターネット使用料は国民平均収入の10%を占め、先進国の10倍に相当するとの見方が報告書で示されている。

 中国は、政府から許可された中国電信、中国網通、中国鉄通などの国営電信会社が公衆情報ネットワークを独占している状況にある。しかし、最近では、サービスが低下しているとか、料金が高いなど、利用者がネットやマスコミを通じて不満をもらすケースが増えている。そして、世界銀行の報告書が発表された途端、主要メディアを含むマスコミで一斉に報道された。一部の専門家は、中国のインターネット接続料が高いという事実を認めたうえで、2-3割は下げられるのではないかとの意見を述べた。

 しかし、北京郵電大学教授・曾剣秋氏は、世界銀行の報告書の集計方法に疑問を呈し、相対価値基準ではなく絶対価値基準を取るべきだという発言を5月8日に行った。同氏の計算によれば、中国のADSL月額料は80-120元であるのに対し、アメリカ、イギリスの場合は約20ドル(150元前後)であり、中国のインターネット使用料は、先進国より格段に安いというのだ。曾教授のこの反論は新聞、ネット掲示板、ブログなどに掲載されたが、既得権団体を代表する発言ではないかと指摘されている。また、5月11日、情報産業省の広報課長・王立建氏は、世界銀行の報告書の数字には根拠がなく、インターネット使用料が高いかどうかは一概にいえるものではないことから、正しい統計数字や有効な評価基準によって判断すべきである旨を、政府を代表して表明した。

 料金が高いか安いかは、数字を比較すれば簡単に判明するはずだ。日本では、低速ADSL(1M以下)接続の場合は、月額使用料は2000円前後が普通で、高速ADSL(50M)接続の場合でも月額で3000円程度ではないだろうか。平均月給を30万円とすれば、使用料は1%に相当し、世界一安いことが分かる。上海では、0.5Mの接続スピードで使い放題のADSL接続の場合、月に130元の使用料が発生する。2006年度の上海市における平均月給は2464元なので、使用料は5%になる。

 今年の初めから、携帯電話受話料金、携帯電話ローミング使用料金、ネット使用料金などをめぐり、電信会社は槍玉にあげられている。

 ただ、安心材料とみられるのは、インターネットの普及によって、大衆の声を反映できる場ができて、いささかなりとも独占企業と対抗できるようになった点だ。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所所長、shanghai@accsjp.or.jp)