【ソウル発】韓国情報通信部は5月のIT輸出が前年同月比4.5%増の94億7000万ドルと発表した。グローバルな競争激化をはじめ、供給過剰によるIT製品の価格下落、ウォン高といった厳しい条件のなか、パネル(26.5%増)、モニター(26.4%増)といったディスプレイ関連品目が成長を引っ張った。一方、携帯電話・半導体輸出は前年並み。輸出から輸入を差し引いたIT収支は45億1000万ドルと大幅な黒字を記録した。

 半導体の輸出は、前年同月並みの29億4000万ドルにとどまった。価格下落が続くNAND型フラッシュと、DRAMの輸出鈍化傾向が続いている。

 同様に携帯電話(部品含む)輸出も伸びが鈍化し、0.2%減の20億9000万ドルにとどまった。プレミアム製品が好調な動きを示している米国向けは11.1%増と2ケタ増を記録したほか、部品輸出を主導している中国(香港含み27.8%増)、中東(58.9%増)、ロシア(479.1%増)などの新興市場向けが着実に増加した。ただし、EU輸出は18.7%減と2ケタの落ち込みとなった。

 一方、パネル輸出は価格下落傾向が落ち着きを取り戻しているうえ、下半期からデジタルTV向けにパネルの需要が増大、Windows Vista向け大型(ワイド)モニター用の特殊パネルの引き合いも強まった。この結果、パネルは前年同月比26.5%増の17億2000万ドルを記録した。パネルとともに完成品となるモニター輸出は4月から増加傾向にある。

 地域別にみると、パネルと携帯電話の輸出で、中国と米国向け輸出が好調だ。香港含む中国は15.1%増の35億ドル、米国は7.8%増の10億1000万ドルとなった。ただ、EUは4.1%増の15億7000万ドルで、携帯電話の輸出減が響き、伸び率は1ケタ台にとどまった。日本向けは、パネル輸出が47.9%減の2億2000万ドルと半減となるなど、全体では21.9%減の7億2000万ドルに落ち込んだ。

 今後のIT輸出は、携帯電話の3G端末買い替え需要が拡大している先端市場と、新興市場の粘り強い成長にともない輸出量が拡大。またパソコンとデジタル家電の9月新学期需要によって半導体、パネルなどIT部品需要が増大することから、下半期には成長が促進されるのではないかと期待されている。

 ただし、ウォン高が続いているのと中国の景気加熱にともなう緊縮政策などが、不透明要因となる可能性があるとの見方も強い。

 一部マスコミは「5月の全体輸出が前年同月比で11.9%増の312億ドルを記録したのに対し、IT輸出に限れば4.5%しか増加していないのはIT産業が低迷している証拠である」と指摘。政府がウォン高を放置しているため経営危機を感じているIT中小企業が急増していると報じた。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)