【北京発】北京オリンピックの開催が1年後に迫っている。中国で最も縁起がよいとされる「8」にちなんで、2008年8月8日午後8時8分に開幕式が行われるというのも興味深い。07年6月末に締め切られた第1次予約チケットの申し込みでは、予想を大きく上回る490万枚の注文が殺到。特に、全体の約9割が窓口でなくネットでの申し込みとなった。それだけパソコンとネットが浸透していることを裏づける結果となっている。

 オリンピックのチケットもネットで購入するのが主流──。中国でのインターネットが急激に普及していることを証明するかのような調査データが、中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)から発表された。調査は5月にオンラインで実施され、サンプル数は2203人だった。

 北京オリンピックのチケット販売予定枚数は700万枚で、そのうち約75%が中国国内で販売される。今回の予約申し込みは、今後のチケット販売戦略をみるという意味でも注目されていたが、大部分がネット経由での注文だったことに関心が集まっている。

 オリンピック委員会は、06年12月に北京オリンピック用URLを「Beijing 2008.cn」と定めた。主催国の国別ドメインが公式URLに採用されたのは今回が初めてであり、情報源のひとつとしてインターネットが浸透していることを示すものとなった。

 それに加えて今年3月には、オリンピック委員会はチケット販売に関する公式サイトとして「www.tickets. beijing 2008.cn」と「奥運門票.cn」(「奥運」は中国語でオリンピック、「門票」は同チケットの意)を開設し、利便性の向上を図ってきた。利用割合は、英語表記URLが80.8%、中国語URLが18.9%となっている。URLではやはり英語表記が主流となっているようだ。

 今回の予約申し込みは、上記サイトのほか、中国銀行窓口でも受け付けた。しかし、申込書に記入するアナログ方式を利用したのは、全体の10.6%にとどまった。予約申し込みの制度をインターネットで知った人が多いことも関係しているだろうが、「テレビ」(39.2%)や「新聞・雑誌」(6.5%)の比率が高いにもかかわらず、ネットでの申し込みが多いということは、さまざまな情報源を持ちつつもパソコンを使って注文を出すというスタイルが普及していることを物語っている。

 チケットサイトに対する見方としては、「手間がかからなくて便利」が6割超と高い。逆に、中国銀行の窓口利用については、「窓口へ出向くこと自体が不便」(13.8%)、「手続きが面倒」(8.4%)、「事務手続きに時間がかかる」(7.2%)、「並ぶ時間が長い」(6.1%)などといったマイナスの意見が多く、「窓口職員の態度が悪い」という意見もある。

 しかし、チケットサイトについても、「画面が複雑で操作しづらい」(12.6%)をはじめ「セキュリティが心配」(11.2%)、「表示速度が遅い」(7.2%)といった意見が出ており、普及にあたってはさらなる改善が必要となろう。

 また、販売ルートの拡大で利便性が増すと同時に問題となるのが、ニセチケットの監督管理だ。人気が集中している開幕式やバスケットボール、サッカーなどの競技を中心に、抽選でしか入手できないプラチナチケットが注目されるのは間違いない。

 調査対象者の3.5%がチケットの購入目的を「転売するため」と回答していることもあり、これからはオリンピック委員会の管理能力が問われることになるだろう。
齋藤浩一(サーチナ総合研究所主任研究員)