自社利用の仕組みを「横展開」

 富士ゼロックス(山本忠人社長)は、自社MFP(デジタル複合機)や文書管理ツールなどを利用して、企業のバイタル・レコード(VR、基幹・重要文書)を管理する構築支援サービスを大企業などへ本格的に展開する。災害などの際に企業が説明責任を果たすことや「事業継続性」を確保するうえで、VRを適切に管理する国内企業はまだ少ない。このため、同社が1995年に発生した「阪神淡路大震災」で被害を受けた「神戸支店」の教訓をもとに社内で確立した仕組みを「横展開」している。「中越沖地震」などで災害対策の意識が高まっている企業へ直販する。将来的には、販売子会社でも提供できるようにする計画だ。

 同社の神戸支店は「阪神淡路大震災」で、日常業務に不可欠な重要書類(契約書など)が瓦礫に埋もれ、基幹文書をバックアップする「バイタル・レコード・マネジメント(VRM)」の重要性を痛感。総務部門や営業部門を皮切りにVRMを推進し、04年に東京・六本木の「ティーキューブ」へ移転する際、全社導入した。導入後に検証活動を経て、電子化された紙文書と業務データとの関連づけや保管、活用などの仕組みが整い、他社へも展開できると判断。「VRM構築支援サービス」として販売を開始した。

 VRは、企業が内部統制などの観点から「事業継続」するうえで必要不可欠な財務、法律、事業運営上の記録や文書で、一般的に社内文書の2-7%を占めるという。VRが消失すると社外に説明責任が果たせなくなる危険性があり、米国では早くから管理を厳重化する取り組みが始まっている。

 同サービスではまず、社内文書からVRを割り出し(棚卸し)、どう文書管理するかをコンサルティングする。基本的には、不要な文書(50%程度)を廃棄し、保管すべき文書(20%程度)を共有キャビネットなどに原本保存したうえで、約30%のVRを含む重要文書を電子保管する。富士ゼロックス内では、この仕組みを維持・管理するため「レコードマネジメントセンター」を開設。現在までに全国7か所に設置し、タイムリーに電子化を進めている。日々追加されるVRの原本管理や電子化、組織変更などに対応。電子化した書類はこれまでに約1300万枚に達する。

 一般企業が同サービスを利用する際は、VRを特定したあと、普段の業務でMFPなどを利用した簡易な「VR登録システム」を利用し、通常業務で発生する契約書などを電子化する。同システムは、MFPで紙文書をスキャンしたあと、「ApeosPort操作画面」でスキャン文書を確認・修正し、エントリーサーバーへ登録・格納するだけですむ。

 同社によると、パソコンを介した従来の電子化では16分30秒/文書1枚の所要時間が、この仕組みで2分に短縮できるという。「これまでは、営業マンが客先から事務所にいったん帰社して契約書などを確認する必要があったが、イントラネットなどで必要な書類を検索し、取り出せるようになった」(内田俊哉・グループ長)と、顧客対応も円滑になるという。

 同サービスは、直販部隊のグローバルサービス営業部で販売を本格化するほか、今後、提供ノウハウ、コンサルティング方法を地域の販売子会社にも浸透させ、全国の中堅・大企業に導入を促していく方針だ。