ライバル「百度」との差別化なるか

 【上海発】グーグルは中国市場に進出して以来、ローカライゼーションに悩まされ続けている。以前にも、コンテンツフィルタリングについて中国政府ともめたことは知られているが、結局、現地事情に合わせるように調整することで、ローカライゼーションの第一歩を踏み出した。しかしグーグルは、数多くのライバルがひしめき合う中国で、いまだ主導権を握るに至っていない。

 CNNIC(中国インターネット情報センター)が発表した2006年度中国サーチエンジン市場調査報告書によると、サーチエンジンの第一選択肢として、百度(Baidu Corporation)が62.1%を占めていると報告されている。一方、グーグルはわずか25.3%に甘んじており、ローカライゼーション戦略の強化を迫られている。

 06年初め、グーグルは長いCOMドメインを廃止するため、100万ドルをかけて「google.cn」を入手し、中国公式サイトとなった。そして06年4月、中国語名「谷歌」を発表した。07年4月には、かなり中国的なIME「グーグルピンインIME」をリリースし、さらには史上最短のドメイン「g.cn」でサービスを提供することとなった。こうした施策により、グーグルはいっそうのローカライゼーションを実施し、ユーザーエクスペリエンスを向上させようとしている。

 また、グーグルは中国でディレクトリ方式のホームページを打ち出すという噂が広がっている。テストページを見る限りでは、現在、中国で流行しているナビゲーションサイトに非常に類似しているようだ。発表の時期や運営方法については不明だが、このような試みは、中国での認知度の向上を意図した施策と思われる。ビギナーにとって、ディレクトリ式のポータルは非常に便利である。何かを検索しようとGoogleサイトを開いても、空っぽの入力欄を前にどうすればいいのか分からない、というようなユーザーは中国にはまだまだ少なくない。こうした事情こそが、ナビゲーションサイトがそれなりの市場を形成している理由だ。

 インターネットアプリケーションのエンターテインメント性も無視できない。娯楽や暇つぶしのために、サーフィンしている人が少なくないからだ。もし、グーグルがサーチサービスだけを提供しているのであれば、ユーザーのアクセスモチベーションは下がるだろう。ライバルの百度が成功している理由として、自由にディスカッションできる掲示システム「貼り付けバー」や、質問・回答の場「知道」のほか、音楽検索に使う「MP3検索」などを持っていることがあげられる。

 短いドメイン「g.cn」の打ち出しやディレクトリ式のホームページなどの試みは、グーグルが層の広い“草の根ユーザー”に注目しつつあることを意味する。

 多国籍企業が例外なくクリアしなければならないのは、現地の市場を研究し、そこのユーザーに合わせること、すなわちローカライゼーションの問題だ。グーグルは中国で一連の対策を打っているが、成果に結びついたかどうかの判定には、もう少し時間を要するだろう。
 魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所所長、shanghai@accsjp.or.jp)