IT調査会社のノークリサーチ(伊嶋謙二社長)は、SaaS市場の現状と中期予測をまとめた。2007年の国内SaaS市場は417億円で、08年には約2倍の866億円に拡大すると予測、12年には7746億円に達するとみている。SaaSはITリテラシーの高い中堅企業から徐々に普及するものの、急速な成長は見込まれていず、12年でもソフトとサービスの合計金額に占める割合は10%にも満たないと予測されている。

 調査にあたり、ノークリサーチはSaaSを独自に定義し、「ソフトウェアをネットワークを通じてユーザーに提供するサービス」とした。類似のサービス形態であるASPとは、カスタマイズ性やマルチテナント技術の応用具合など、テクノロジーの違いで区分けした。また、SaaS市場はソフトの利用料ほか関連するセットアップおよびカスタマイズ、保守費用を含めた金額と定義した。

 ソフトとサービスの合計市場規模のうち、SaaSが占める比率は、07年で約0.5%、08年では1.0%、12年では8.0%。右肩上がりの成長を予測しているものの、ソフトとサービス分野に占める割合は4年後でもまだ10%に満たない。

 伊嶋社長は、「SaaSの特徴を生かしたソフトは現在はなく、急速な立ち上がりは考えられない。3-4年は、パッケージやカスタマイズソフトと共存し緩やかに成長する」とし、既存のソフト提供方法が一気にSaaSへ置き換わる可能性が小さいことを強調した。

 このほか、SaaSが普及しない理由としてソフトベンダー側の課題も指摘している。パッケージソフトを販社を通じて販売する商流からネットワークを通じた提供になる販売モデルの転換に時間がかかる点、クライアント/サーバー(C/S)型ソフトのWeb化にコストと開発時間がかかり、SaaS化に取り組めないケースがあることを理由にあげている。

 なお、国内の全IT関連製品・サービスの市場規模は2012年まで年平均成長率は2.0%で、12年の金額規模は15兆6168億円としている。SaaSはパッケージやカスタマイズ開発ソフトの置き換えとして成長するため、SaaSの普及が国内ITマーケットの底上げにつながるとはみていないようだ。