SIerの富士ソフト(野澤宏会長兼社長)の構造改革が新しいフェーズに入ろうとしている。これまではソフト開発におけるプロジェクト管理の強化など、不採算案件の発生防止に力を入れてきた。一定の成果が得られたことから、オリジナルのソフト・サービス商材を増やし、特色あるビジネスモデルづくりを加速。持続的な成長を可能にするビジネスモデルの構築を急ぐ。元日本IBM常務でソフトビジネスに精通する堀田一芙副社長が社長補佐に就くなど、トップマネジメントの体制整備も進める。

 堀田氏が副社長に就いてから半年余り。東名阪の主要な事業所約45か所に足を運び600人近い社員と話し合いを続けてきた。浮き彫りになってきた課題は「自由な発想を伸ばす考え方」(堀田副社長)。過去数年の構造改革によって、プロジェクト管理など業務遂行能力は高まった。与えられたミッションを最後までやり通す粘り強さは「業界トップクラス」と自負している。だが、発想のユニークさがIBMなど世界大手に比べて弱いことが分かってきた。

 社員から堀田氏にぶつけられた質問は“情報サービス産業や会社の将来について”が全体の約35%でトップ。従来のスクラッチ方式による大型開発プロジェクトの先細り感が強まるなど、業界の変化を現場は敏感に感じている。自由な発想で新商材を生み出す職場環境をつくり、業界のリーディングカンパニーであり続けるための「トップマネジメントの品質がより厳しく問われる」と、経営層のビジョンや舵取りの重要度が増していると話す。

 富士ソフトは業務システムや組み込みソフト、デジタル映像制作など複数の強みを持つ。組み込みソフトは独自のミドルウェアパッケージ商材などを生み出しつつあるが、業務システムは請け負い型の開発が依然多数を占める。デジタル映像制作はまだ立ち上げたばかりで、本格的な拡大はこれからだ。堀田氏は「IT業界随一のアイデアマン」(日本IBM幹部)と評されており、業務システム分野の経験が豊富。まずはこの分野での手腕発揮が期待されている。

 同社は野澤氏が一代で築き上げただけあって求心力が強い。それだけに「個々人の創造性を生かす仕組みづくりが急務であり、野澤(会長兼社長)も痛感している」と、堀田氏をはじめ外部からのトップマネジメントを受け入れて経営品質の向上に取り組んできた。構造改革に重点を置いた影響もあり、2007年度(08年3月期)は2期連続の減収になる見通し。各事業の相乗効果やオリジナル商材・サービスが立ち上がるまでの今後数年間は厳しい状況が続く可能性があるものの、成長を持続させるためには「避けて通れないプロセス」と、気を引き締める。