茨城県日立市に本社を置くソフトウェア開発会社の茨城日立情報サービス(IJS、森田憲一社長)は、国内1位のシェアを誇る鋳造CAE(工業製品の設計・開発工程支援)システム「ADSTEFAN(アドステファン)」の販売を中国などアジアを中心に強化する。4月3日、中国広州市にある華南理工大学に「ADSTEFANセンター」を開設して研究と人材育成を開始。同市内にある日本の自動車メーカー向け鋳造生産に貢献する仕組みを確立する。同社は日立製作所系列の受託ソフト開発中心の事業体から脱却し、2010年度(2011年3月期)までに各種パッケージの売上比率を10%に伸ばすことを計画している。

 「ADSTEFAN」は、自動車部品などの鋳型内で溶融金属が流入する様子や凝固する過程を解析し、鋳造過程と製品の欠陥を事前予測する1本500万円程度のシミュレーションソフト。東北大学と日立製作所など産学共同プロジェクト「鋳造CAE研究会」で鋳造会社30社以上のベテラン技術者からノウハウを得て開発し、99年から発売している。「一個数千万円から1億円と高価な金型の無駄な製作を防ぐのに有効」(森田社長)と、人気を博し、アルミ製の自動車部品やパソコンのカバー、携帯電話部品などを生産する製造業に販売を拡大、国内シェア40%を占めて堂々の1位となっている。

 国内では宇部興産機械など鋳造機械メーカーを通じて販売を拡大中。また現在、世界の製造業が集まる中国やインド、台湾、マレーシアを拠点として販売代理店網を敷き、製造業現場での効率化ソフトとして売り込みを強化している。さらに、自動車産業が盛んな中国・広州市にある華南理工大学に「ADSTEFANセンター」を設置、大学院生を中心に人材育成と同ソフトをより生産現場に応じてアップデートするための研究を行う。IJSは「ADSTEFAN」の販売について2010年度までに国内と海外の割合を6対4にし、現在の倍となる年間10億円の売上高を目指す。

 IJSは現在、「ADSTEFAN」以外にも受託ソフト開発などから得たノウハウを基にした自主パッケージソフトを多数保有する。例えば、CAD/CAM/CAEなどエンジニアリング・プロセスを自動化・統合化する「iSIGHT(アイサイト)-FD」や文教向けの学校給食業務を管理する「給食マイスター」、出席管理システムなど、ニッチ市場向けに20種類近くのパッケージがある。

 これまで、原子力発電所など日立系列の受託ソフト開発を手がけてきたが「茨城県内にある日立関連の会社は、最大時約900から現在約700社に減少した。日立系列以外の自主パッケージ比率を高めていく」(森田社長)と、現在の数%から2010年度までに10%に拡大し、日立系列以外からの受注も数%から20%へ高める計画だ。

 IJSの07年度(08年3月期)の売上高は、前年度比4億円増の110億円に達する見込み。営業・経常利益率は非公開だが、パッケージ比率を高めることで利益率向上にもつながりそうだ。