富士通(黒川博昭社長)は、今年度(2009年3月期)にパソコン事業で売上拡大を図る。なかでも、法人を対象にサーバーやセキュリティなどを切り口にシステム提案を重視。SOHOに対してはウェブ販売を前面に押し出すことで拡販していく方針だ。

 同社は昨年度、パソコン事業の売上高が微増だった。三竹兼司・パーソナルビジネス本部長代理(マーケティング担当)兼パーソナルマーケティング統括部長は、「パソコンを取り巻く環境が依然として厳しい状況。そんななか、かろうじて増収を果たせた。何とか、堅調な伸びを維持する」方針。

 具体的な拡大策については、「セキュリティを切り口にサーバーをはじめとしたシステム全体でソリューションとして提案していく」という。内部統制のため法人市場でノートパソコンに関する規制が厳しくなっている状況を生かし、指紋認証などセキュリティ機能を搭載した端末の提供を強化。「内部統制ニーズが今年度に高まるのは中小企業。サーバーの販売代理店がパソコンもセットで販売するモデルを構築する」。そのため、奨励金制度の改定を実施したとしている。セキュリティのニーズに対応するにはシンクライアントでの提供も想定できるが、「ユーザー企業のコスト面を考えれば、パソコンで提供したほうが最適なソリューションを提供できるのではないか」とみている。

 販路の拡充についてはウェブ販売にも力を入れる。SOHOを中心に2ケタ成長を遂げているという。「販売パートナーが開拓できない領域をウェブ販売でカバーする」としている。

 2000年をピークにパソコン市場が伸び悩むなか、パソコンの販売に旨味がないと判断するベンダーが多い。IBMがパソコン事業を売却したのをはじめ、日立製作所は製造から撤退、メーカー間の統合など収益力が低い製品であることは否めない。しかし、富士通では「パソコン事業がユーザー企業を開拓するための“突破口”としてのビジネスに位置づけられる。そういった意味では大きな役割を果たしている」と自信をみせる。そのためにも、「ぜひとも増収を果たす」としている。個人向けビジネスについては、北京五輪で薄型テレビやDVDレコーダーなどデジタル家電への需要が集中する可能性があるが、「映像コンテンツの編集がAV(音響・映像)機器と比べて機能性に優れていることを押し出すことでリプレース需要を促していきたい」意向を示しており、テレビとの接続が可能なパソコンの新製品を発売する計画だ。