京セラコミュニケーションシステム(KCCS、小林元夫社長)は、次世代モバイルネットワーク事業を重点分野に位置づける。企業の基幹業務システムとモバイル端末を連携させるシステムやネットワークの構築ビジネスを柱とするものだ。モバイルネットワークの高速化、端末機器のオープン化が進む見通しから、同分野でのビジネスチャンスが拡大すると予測する。サービスメニューの拡充や営業展開に力を入れることで事業拡大を狙う。

 KCCSは、他のSIerに比べて携帯電話などモバイル系のシステム運用やネットワーク構築に多くの実績がある。システム構築の主力分野である企業の基幹業務システムと、得意とするモバイルネットワークの連携をより進めることで、優位性を発揮する。

 携帯電話などの無線通信に強い京セラグループの強みを生かし、これまでもモバイルを活用したシステムや無線ネットワーク、デジタル放送分野での技術革新に積極的に取り組んできた。ここへきてWiMAXなど次世代無線ネットワークの進展やMVNO(仮想移動体通信事業者)の台頭など、無線通信インフラは変革期を迎えている。加えてiPhoneなど端末機器のグローバル化、オープン化も進む。

 小林社長は、この分野での「ビジネスチャンスが大きくなっている」と、モバイル環境の多様化の波に乗ることでビジネスを伸ばす考えを示す。同社は、システム構築やネットワーク構築、データセンター事業などを幅広く手がけており、データセンターでは、携帯電話向けコンテンツや課金システムの運用に長けている。こうした強みを生かすことで、企業向けのモバイルを活用したビジネスを加速させる。

 例えば、外出先での業務をノートパソコンで処理していたものを、利便性のより高い情報端末に置き換える需要が拡大する可能性がある。無線ネットワークのブロードバンド化により、一度に大量の情報を小型端末で扱えるようになれば、モバイル活用が従来にも増して重要視される。

 IT分野では、インターネットをベースにハードやソフトウェアのオープン化が急速に進んだことで、SIerのビジネスが拡大してきた。一方で、携帯電話を中心とするモバイルネットワークは、これまで国内独自の発展を遂げてきた経緯がある。ただ、WiMAXやiPhoneなど新しいサービスや製品の登場で、「プラットフォームそのものが変化する兆し」がうかがえ、ここにビジネスチャンスを見いだす。

 同社の昨年度(2008年3月期)連結売上高は前年度比5.4%増の884億円、営業利益は同86.5%増の82億円と堅調に業績を伸ばした。KCCSならではの強みを生かすことで、2010年3月期には年商1000億円を目標に据える。