リコー(近藤史朗社長)はアウトソーシング事業を順次拡大することを明らかにした。自社やパートナーの製品・サービス、SaaS(Software as a Service)などを融合させ「包括的アウトソーシング」と称する新サービス事業として、2010年度(2011年3月期)を最終年度とする「第16次中期経営計画」内に販売など社内外の体制を確立する。製品機器のコモディティ化が進み、ハードウェアで収益を得にくい市場環境へ移行するなかで、企業システム全体を“預かる”ことで収益性を高めることを狙う。機器販売を主体とするリコーがサービスベンダーへの変貌を遂げようとする一方、同社パートナーの変革が求められることになりそうだ。

 リコーはこの数か月間、主要パートナー向けに「リコーの考える新サービス事業」などと題する説明会を断続的に開催してきた。「包括的アウトソーシング」事業は、昨年10月に新設した組織「NB(New Business)推進センター」などを中心に構想した。同社の既存事業であるデジタル複合機(MFP)やレーザープリンタ(LP)、ネットワークシステムなどグループ会社の資産と、SIerやディーラーなどパートナーから提供を受けている製品・サービスを融合させて「新サービス事業」を生み出そうとしている。

 新サービスは、「大手・中堅市場層」(従業員100-1000人以上)向けにドキュメント/出力プロセス全般を預かる「DPO(ドキュメント・プロセス・アウトソーシング)」と、「中堅・中小市場層」(同1000人未満)向けに業務/ビジネスプロセスをサポート・支援する「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」に分かれる。一般にアウトソーシングというと中堅・大企業を想定するが、同社の場合は中小企業を含めた取り組みになる。

 DPOでは、オンサイト・オフサイトで集中出力処理や文書の電子化・保管、再資源化を請け負う「DPS(ドキュメント・プロセス・サービス)」と、分散出力機器を統合し運用・管理などの付帯業務を常駐人員を設置して請け負う「MPS(マネージド・プリント・サービス)」を手がけ、文書に関わるすべてを扱う。

 一方、BPOでは中堅・中小企業を対象にしたアウトソーシングを行う。白井康之・ソリューションマーケティングセンター担当マネジャーは「単純に給与ソフトウェアを導入するだけでなく、振込や給与計算代行などの個別サービスに対するニーズは顕在化している」と、SaaSを切り口にして中小企業向けアウトソーシング体制を立ち上げる。

 BPOの取り組みでは、請求・回収や経理、労務、販売・勤怠・人事管理、ファシリティ管理、受注・発注、配送、テレマーケティング──など、幅広いSaaS型の業務アプリケーションを自社やパートナーの協力を得て整備する。喜多亮介・SaaS推進グループ担当は「SaaSは一つのコンポーネントにすぎない。これまでパートナーのパッケージを販売し、付帯する保守・サポートなどを提供してきたが、SaaSによるサービス化で、そのあり方が変わる」と、パートナー製品を多種類組み合わた「従量課金型」で提供するスタイルに舵を切るという。

 従来同社は、パートナーからソフトやハードウェアなどの商材を仕入れてグループ会社などで販売したり、自社プリンタなどをSIerやディーラーに卸し、代理販売する「商流」を築いていた。しかし、「今後は、サービス化を前提とした『協業モデル』に移行する。顧客とパートナー、自社で顧客のコスト削減などを行うことで得る価値を共有していくモデルになる」(白井・担当マネジャー)という。コモディティ化が進むハード製品は、手離れが良い半面、買い換えリスクも高い。息長く顧客を囲い込むため、こうしたモデルを志向すべきと判断したようだ。

 既存のライセンスビジネスを志向してきたハード・ソフトメーカーのパートナーは仕入れ方やインセンティブの提供方法などで、また製品を右から左へと流通させるディーラーは販売手法などで、大きな変革を迫られることになりそうだ。
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