リッチインターネットアプリケーション(RIA)基盤ソフト開発の日本ネクサウェブ(藤岡健社長)は、クライアント/サーバー(C/S)型など旧来のシステムをウェブ化するサービス体系を整備する。手作業でマイグレーション(移行)するのに比べてほぼ半分の時間で済む。既存システムをウェブなど新しいアーキテクチャへ移行させることによるTCO削減は、企業にとって重要な課題になっている。移行作業の効率化を推し進めることでシェア拡大を目指す。

 今回発表したマイグレーションサービスは、「Nexaweb Advance(ネクサウェブ・アドバンス)」で、コボルやVisual Basic(VB)、PowerBuilder、C言語で開発されたC/S型などの旧来のアプリケーションを主なターゲットとする。アプリケーションの中身を解析して変換、ネクサウェブのRIA基盤上に再構築するもの。同社はJavaやAjaxなどオープンな技術を採用しており、旧システムをウェブに完全対応したシステムへ移行できる。

 2008年の世界のマイグレーションの市場規模は、前年比約1.5倍の70億ドル規模に達すると同社では見ている。米本社のネクサウェブテクノロジーズのデイビッド・マクファーレインCOOは、「日本はカスタマイズされた業務アプリケーションの量が欧米の2倍ほどある。近代化(モダナイゼーション)する余地は大きい」と、日本市場に大きなビジネスチャンスを見いだす。

 国内ではSIerなどのビジネスパートナーに「Nexaweb Advance」のスキル移転を始めており、2009年から同サービス体系を活用したマイグレーションが本格的に増えてくる見通し。旧来アプリケーションをウェブ化するツールは、部分的には揃えてきたものの、分析から再構築、稼働に至るまでのトータルで体系化したのは今回が初めて。とりわけ既存システムを分析し、可視化するツールは新規に開発した。

 日立システムアンドサービスや三菱電機コントロールソフトウェア、TISなど有力SIerがネクサウェブ製品をベースとしたシステム構築を手がけており、今回のマイグレーション体系についても、「ビジネスパートナーからの反応は上々」(日本ネクサウェブの藤岡社長)と、手応えを感じている。

 米ネクサウェブのグローバルでの売上高は、企業向けRIA市場拡大の波に乗ったことで06年からほぼ倍増で成長してきた。今年度(08年12月期)売上高も前年度比約2倍の成長を見込む。世界での顧客企業数は約7000社に達したが、国内ではまだ約100社と少ない。「Nexaweb Advance」を活用することで1案件あたりの移行期間を短縮化。回転効率を高めて納入社数を増やしていく方針。日本法人では2011年度の売上高を今期見通しの約10倍に増やす意欲的な目標を立てている。

RIAベンダーの動向
移行ツール投入相次ぐ
企業需要の活性化期待


 RIAへのマイグレーションツールを巡っては、住商情報システムグループでRIAベンダーのカールが、Visual Basic(VB)で開発したC/S型アプリケーションをCurlへ移行させるツールを昨年末に投入。これが顧客やビジネスパートナーから高い評価を得て、Curlのシェア拡大に大きく貢献している。

 今回、ネクサウェブが同様の移行サービスを始めたことで、RIAのシェア争いがより激しさを増す見通し。

 ウェブ上にC/S型か、それを上回る操作性のよさをもつアプリケーションを実現するのがRIAである。この分野は大手ソフト開発ベンダーのアドビシステムズがAIR、マイクロソフトがSilverlightをそれぞれ投入しており、両技術はコンシューマ向けのRIAでの採用が目立つ。一方で、企業向けのRIAは、既存のシステムからの移行作業が伴うケースが多く、普及が遅れがちだった。

 ネクサウェブやカールなど企業向けRIAの有力ベンダーから移行ツールやサービスが相次いで投入されたことで、企業マーケットにおけるRIA需要のより一層の活性化が期待される。