11月12~14日、東京・四谷のホテルニューオータニで、第1回アジア太平洋デジタル雑誌国際会議(主催:社団法人日本雑誌協会/国際雑誌連合)が開催された。苦境に喘ぐ雑誌が活路を切り開く道筋を探るための会議で話し合われたテーマは、「紙とデジタルの融合」であった。

 日本の雑誌は、10年来の販売部数逓減と広告収入の減少に苦しんでいる。一方で、媒体としては雑誌のライバルとなるインターネットの利用者は、2007年末で8811万人(総務省「平成19年通信利用動向調査」)と、10年前の7.6倍に達している。広告収入も昨年初めてインターネットが雑誌を抜き(電通「2007年 日本の広告費」)、テレビ、新聞に次ぐ第3の広告媒体となった。

 紙媒体を発行する出版社たちが、危機感を抱きながら会議テーマに掲げたのは「紙とデジタルの融合」。雑誌には、長年培ってきたブランドとコンテンツの力がある。ITのウェブやモバイルをライバル視するのではなく、ブランドとコンテンツ力を高める新たな武器として使いこなし、相乗効果で媒体価値を高めていく方策を探るのが会議の目的だ。

 日本、韓国、台湾、中国、米国など17か国から500名を超える参加者を集めた会場では、冒頭、村松邦彦大会会長(日本雑誌協会理事長)が「かつてない変化をチャンスに結びつけ、勝利をつかみたい」と挨拶。国際雑誌連合のカマーフェルド会長は「われわれは多様化によって収益を拡大できる」と力強く宣言した。来賓の猪瀬直樹東京都副知事は、日本における雑誌の歴史を振り返った後、「紙とデジタルはかけ離れているのではなく、組むことで新しいカオスになる」と述べた。

 プログラムでは、各国の出版社が、すでに成功を収めている女性誌やニュース誌のウェブサイトの具体事例をビジネスモデルとともにプレゼンテーション。また、ITデバイスを提供するメーカーや広告出稿主などからは、デジタル時代の雑誌媒体をマーケティング戦略に組み込むことの重要性と、雑誌のもつ「編集力」への期待が語られた。

 紙とウェブサイトの読者をつなげ、収益を生む方策を考える――参加者の多くを占める出版社にとっては、ヒントを得る機会となったはずだ。

 次回以降、この第1回に啓発された出版社による成功事例が紹介されることと、「深く踏み込んだ議論」が交わされ、紙とデジタルの融合が伸展することに期待したい。