最近まで低迷気味だった国内ネットワーク(NW)関連市場。だが、SaaSなどコンピュータ分野でサービス型モデルが立ち上がりつつあるなか、法人市場でネットワークに対する関心が徐々に盛り上がってきた。2009年は話題が尽きない年になりそうだ。国内最大級のネットワーク関連イベントである「Interop Tokyo 2009」も多彩なテーマを盛り込んでいる。出展企業は、テーマのなかから得意な分野を選択して用途提案を重視した展示を披露する。今回の催しの特色やポイントを、イベント運営に関わるキーパーソンの説明をもとに概観してみよう。(佐相彰彦●取材/文)

出展企業は用途提案を重視

技術の説明よりもメリットを重視

 6月8日から5日間にわたって開催される「Interop Tokyo 2009」のテーマは13項目。複数のテーマが用意されているのは、ネットワーク業界で多くの話題が出てきていることを物語っている。イベント運営の責任者を務めるCMPテクノロジージャパンの佐藤孝・事業推進本部シニアプロジェクトマネージャーは、「テーマは、ICTを最大限に生かす方法を伝えるためのもの」としている。出展企業は、これらのテーマから自社が得意な分野を選定して製品やサービスを披露する。

 ただ、これまでの催しと異なる点がある。「来場者に対して用途提案を重視している」というのだ。展示の製品やサービスで、ユーザー企業が何を実現できるか、販売代理店がどのようなビジネスチャンスを得られるのかということを「きちんと伝えて欲しいと出展企業に訴えた」という。

 これまでネットワーク関連イベントといえば、Gbps(ギガビット)といったスピードの追求、「FC-SAN」「IP-SAN」など規格の優位性など、ネットワークの技術的な面をアピールする傾向が高かった。つまり、出展企業は製品の機能を説明することが多かったといえる。技術に詳しい来場者にとっては、参考になることが多々あっただろう。しかし、「ブロードバンドなど高速ネットワークが当たり前になり、身近になっている状況では技術的な説明より、最新技術を搭載した製品を導入したことで、どのように自社のビジネス拡大につながるかがポイント」と説明する。

 しかも、最近ではネットワーク上で配信するアプリケーション数が増えている。頻繁に停止するようなネットワークインフラでは、業務に支障をきたすことになる。「(ユーザー企業である)来場者の業務に適したネットワークインフラを提案することが望ましい」としている。さらには、不況の影響で、コスト削減に頭を悩ます企業が増えている。最新技術を搭載した製品の導入で、煩雑なネットワーク構成の排除による消費電力の節減などを訴えていくことも重要ということになる。「開催中に出展企業の商談につながるようなイベントにしたい」と佐藤シニアマネージャーは構想を語る。

IPv6関連の訴求が人気を博す

クリックで拡大  出展企業が用途重視で展示するとして、肝心の来場者が関心を抱くテーマとは何なのか。

 「コンファレンスでは、『IPv6』関連のハンズオンが早くから定員オーバーになった」という。現在、IPアドレスはIPv4が主流だが、今後1~2年で枯渇するといわれている。ただ、ユーザーにとっては枯渇後に何がどう変わるかがよく分からない。「IPv6採用の有無」「採用の仕方」「メリット」などの知識を蓄えてきたいというわけだ。そういった点では、IPv6のメリットを訴えて関連製品を訴求する展示は新しいビジネスを創出するものとして注目を集めそうだ。

 また、クラウド・コンピューティングについても来場者が気にしているところ。「今回のイベントでは、クラウド・コンピューティング関連のコンペティションを開催する。そのための環境を構築し、エンジニアなどがテクノロジーに触れる場を設けた。新しいサービスの開発に役立てて欲しい」としている。また、クラウド・コンピューティング関連の製品を展示するメーカーが複数あることから、SIerやディストリビュータにとって製品やサービスの売り方を模索できる可能性はある。ほかにも、ネットワーク仮想化をはじめNGNや次世代ワイヤレスなどは、これからのビジネスなだけに用途提案の展示が効果をもたらすことになる。

 数年前までのネットワークインフラ構築ビジネスは、技術を前面に押し出している感があった。しかし、最近では用途提案をきちんと行わなければユーザー企業が振り向いてくれない傾向が強くなってきている。用途提案を重視するということは、将来を展望する色彩が強かった展示が多数を占めてきたイベントの質が変わり、現実に近づいてきたということになる。

 最新技術を搭載した製品の展示を通じて、会場に足を運んだディストリビュータやSIerが、ユーザー企業への提案を充実させることができるようになる──そんなイベントを期待したい。