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米PGP 「昨年度は最高の結果を残せた」 米社長兼CEO来日、暗号市場を語る

2009/06/08 21:34

週刊BCN 2009年06月08日vol.1287掲載

 暗号化ソフト大手、米PGPのフィリップ・ダンケルバーガー社長兼CEOが5月下旬に来日した。暗号ソフトの最有力メーカーで、世界178か国11万社の顧客を持つ同社のトップは市場をどうみているかをインタビューした。

――情報セキュリティ製品は景気の影響を受けにくいと言われるが、最近のビジネス状況は?

「影響がないわけではないが、昨年度は最高の結果を残せた。各国の政府が情報を守るための法律を整備し始め、それが追い風になった。とくに好調だったのが北欧。大規模な情報流出事故が発生して話題になり、ユーザー企業の暗号化ツールへの投資を後押しした。今年は主に南欧を攻めている。日本を含むアジアと米国は、着実に伸びている状況だ。」

――製品開発で何を重視している?

「3点ある。絶対的にセキュアであること。そして使い勝手のよさ。最後が導入する際にユーザー企業の現行運用方法を邪魔しないことだ。これらの一つも欠かせない」

――今年度、主に手がける販売施策は何か?

「世界的な販売チャネルを持つITベンダーとのアライアンスを加速させている。米IBMは当社製品を本格的に販売しており、こうしたパートナーを増やす活動を展開中だ」

――最近の日本市場をどうみているか?

「日本は、変わらず魅力的な市場だ。当社としても昨年は人員を2倍に増やすなど投資しており、期待している」

――暗号技術は情報漏えい対策として有効な手段なはず。とくに日本は情報保護対策が他国よりも進んでいるが、市場規模が小さい。足かせ要因は何か?

「技術的な問題ではなく、モラル・考え方がある。確かに、日本は情報保護に対する取り組みは先進的だ。法整備(個人情報保護法)も他国より早かった。ただ、日本は情報保護といっても、氏名や住所、電話番号などの個人情報の保護、漏えい防止に対しては敏感だが、ビジネス情報の保護については鈍感な印象を受ける。この点が普及を遅らせている要因の一つだろう」(木村剛士)
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