NECネクサソリューションズ(NECネクサ、森川年一社長)の事業構造と組織体制が10月、大幅に変わる。「東名阪の中堅企業(主に100~500億円)に特化したSIer」としての役割を果たすため、それ以外の人員、組織をすべてNECほかグループ会社に移管。東名阪の中堅企業約7000社に的を絞った組織・営業戦略を進める体制を築き、4~5年後に売上高2000億円の突破を目指す計画をぶち上げた。今年4月にNECネクサの新社長に就いた森川氏へのインタビューで、より具体的な内容が明らかになった。

東名阪の中堅に特化した組織が固まる

 今回の構造改革は、NECが掲げた国内営業力強化の方針に基づいた施策。NECやNECネクサほか合計で11社のグループ企業が関連する。NECネクサは、「東名阪の中堅企業市場に特化したSIer」としての役割を専門で担うことになった。NECが今夏に策定・発表したが、NECネクサのトップに4月1日付けで就いた森川社長のインタビューで具体的な内容が分かった。

 まず、グループに点在する東名阪の中堅企業に適した人員や組織をNECネクサに集約する。逆に、それ以外はNECなど別のグループ会社に完全移管する。東名阪以外に設置するNECネクサの6支店である(1)北海道(2)東北(3)岡山(4)中国(5)四国(6)熊本の人員・組織は、基本的にNECに移して閉鎖する。その一方で、東京本社、中部支社(名古屋市中区)、大阪支社(大阪市中央区)の人員は、グループ会社の中堅企業向けビジネス担当者を集めて増強する。一連の組織改革により、NECネクサの従業員数は約500人減少し、2500人体制になる。このうち営業担当者(営業支援人員含む)は約200人減り、750人程度になる見込みだ。

 このほかの組織再編として、森川社長は3分野を強化する方針を計画。(1)市場分析(2)新規顧客開拓に向けたコンタクト機会の増強(3)営業担当者支援機能──を強くする考えだ。具体的な組織形態を上期中に詰めて10月から本格稼働させる。

 基幹システム構築ビジネスで主力に扱うERPパッケージは、NECグループの「EXPLANNER」と明確に定めた。NECネクサは従来、「EXPLANNER」だけでなくインフォべックの「GRANDIT」やSAP製ERPなど複数のパッケージを販売してきたが、構造改革後は「他社製ERPを取り扱わないわけでは決してないが、『EXPLANNER』を中心に販売する」と森川社長は語っている。「EXPLANNER」は、「製品力が他社製品よりも劣っていた部分がある」という認識で、製品力強化に向けてNECが従来以上に開発投資を増強することで合意しているという。

 ターゲットとなる東名阪の中堅企業は7000社と試算。このうち、NECネクサがすでに基幹システム分野で顧客となっているのが600社で、PCやサーバーなどNEC製品を販売した実績があるユーザー企業は23%の約1600社にのぼる。森川社長は、4~5年後の長期目標として「基幹システムで1200社、NEC製品を活用するユーザー企業の比率を35%まで高める」とぶち上げた。また、売上高目標は、今年度は大手企業ユーザーの売り上げや東名阪以外の売り上げ(昨年度は65億円)をNECに移管させることで減少し、昨年度に比べ200億円マイナスの1000億円を見込むが、来年度から右肩上がりで推移させ4~5年後に「2000億円に到達させたい」方針だ。

 森川社長は、「2年前から市場や顧客の見える化を進め、中堅企業向けビジネスは2割増えた。ただ、大企業のユーザーを抱えると、どうしてもリソースが分散してしまっていた」とこれまでの課題を分析。中堅専門のSI事業に変貌を遂げることで、長年の課題を克服し、2000億円超えを目指す意気込みだ。


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中小ユーザーはどこが担当?

 今回のNECグループ全体の方針で、NECネクサソリューションズのメインターゲットは、東京・大阪・名古屋にある年商100~500億円企業の約7000社と明確になった。NECグループのなかで、中堅企業向けSIをけん引する存在として期待されながら、「大手企業が中心」だった実状を本気で変えようとしているわけだ。では、これら地域に位置する年商100億円未満の中小企業の顧客はどこが担当するのか──。

 「攻めるメインが年商100~500億円であって、100億円未満を対象にしないということでは決してない」。森川社長はこう明言し、東名阪に点在する100億円未満の中小企業にも提案・営業する方針を示した。ただ、攻め方に関しては、100億円以上と、それ未満とでは違うという認識を示している。

 「年商100~500億円の企業は約7000社とみているが、100億円未満の企業は何万社となる。すべての企業に直接営業するにはリソースが足りないし、求められるソリューションも違う。例えばERPでいうと、年商100億円未満の企業はカスタマイズを必要とせず、パッケージの機能に顧客が自社の業務を合わせるような傾向が強い。年商100億円未満の企業には、当社が直接営業して案件獲得の成功モデルをつくり、それをNECグループの販売店に横展開するのが最適ではないかと考えている。販売店との協業による開拓で攻め込むつもりだ」。

 年商100~500億円のユーザ-企業向けビジネスについては明確な計画がみえるものの、年商100億円未満向け事業については、「これから」という印象が強い。ただ、1社あたりの売上規模こそ少ないものの、数が多い中小マーケットを効率的に制することができれば、年商2000億円の突破に大きく貢献するはずだ。「パートナーとの協業による開拓」の具体的な施策が気になるところだ。