熊本県のNEC系ベンダー、KIS(野田正昭社長)は、結婚や出産で退職した女性を活用し、ソフト開発のコスト削減する。グループのソフト開発子会社で、一線を退いていた女性技術者をパートタイムで雇用し、人件費を抑えることで、他社よりも低価格なソフトやサービスの提供につなげる。

 KISでは「ソフト工場」(野田社長)と呼ぶ、低コストでソフト開発を行うための100%子会社「KISドットアイ」を2006年に設立。これまで結婚などを契機に会社を辞めた高・大卒の女性技術者10名を採用した。

熊本市にあるKIS本社

 「女性は優秀な人が多く、例えば出産後に働きたいという意欲をもつ人が少なくない。この取り組みなら、働き手の女性が家庭と両立させることが可能で、当社も人件費などの開発コストの抑制ができる」と、野田社長は説明する。

 ソフト開発では、人件費の削減を目的に、中国などにアウトソーシングを行うITベンダーも少なくない。しかし、「言葉が壁になって、指示や詳細の詰めといった部分で時間がかかり、逆にコスト増につながっている。やはり、日本語ですぐにやりとりできる環境のほうがコストを抑えるには有利」と野田社長は指摘する。同社ではコスト競争力の向上を推し進めるため、今後も女性の登用を積極的に進めていく方針。こうした取り組みを通じて、子会社を「安いソフト製造部隊」(野田社長)として育てていきたい考えだ。

 一方で、子会社はKISを定年退職した社員の再雇用先としても活用する。同社は60歳が定年だが、子会社を受け皿として定年退職した社員を65歳まで雇用する。

 「年齢的には定年に達しているものの、当社にはまだまだ働ける技術をもった人が多い。そうした社員の雇用を確保していく狙いもある」と野田社長は話している。KISの取り組みは、コストダウンと雇用の確保を両立するものとして注目される。(米山淳)

野田正昭 社長