日立情報システムズグループのコンピュータシステムエンジニアリング(CSE、中根啓一社長)は、クラウドに対応した電子メールアーカイブシステムの拡販に乗り出す。プライベート・クラウドやパブリック・クラウドなど複数の方式に対応。一つのメールシステムを複数の企業が共有するマルチテナント型での柔軟なアーカイブを可能にすることでシェア拡大を目指す。

ハイブリッド型にも対応

中根啓一社長
 メールアーカイブは、企業の内部統制強化の需要の高まりで市場が拡大してきた。CSEは、これまでシングルテナント型を中心に累計230社、60万アカウントに納入実績があり、トップクラスのシェアを誇る。しかし、一つのメールシステムを複数のグループ会社で共有するクラウド方式が急速に普及。このためマルチテナント型に対応した新バージョン「WISE Audit マルチテナントエディション」を、今年4月から本格的に販売を始めた。

 新バージョンでは、SaaS事業者向けとプライベート・クラウド向けの2種類があり、前者はSaaS方式でメールサービスを提供するNECビッグローブや、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)などが採用。後者はCSEによる直販や日立情報システムズなどのSIパートナーが販売する。また、「メールはSaaSやパブリックサービスを使い、アーカイブは自社内に設置したサーバーで行うユーザーも今後増える」(CSEの中根社長)とみており、こうしたハイブリッド型のメール利用にも個別に対応できる体制を強化する。アーカイブの設定は大元のクラウド管理者と、個別のユーザー企業の2段階で設定できるようにするなど利便性も高めた。

 例えば、クラウド系メールサービスを利用しているユーザーが、ある日、別のクラウド系メールサービスに乗り換える場合、これまでの大量のアーカイブごと引っ越すのは容易ではない。日頃から自社内のサーバーにアーカイブしておけば、「より経済的で利便性の高いクラウド系メールサービスに乗り換えても、過去のメール資産を継承できる」ようになる。マイクロソフトやIBM Lotus、Googleなどのメジャーなサービスや、市販メールソフト向けの汎用接続口があるサービスのアーカイブに対応する。

 今回の新版については、向こう2年間で3億円の売上高を目指す。販路も従来の直販中心を改め、SaaS事業者やSIパートナー経由での販売にも力を入れることでシェアを拡大させる。SaaS事業者は今の4社から今後2年で10社程度に増やす方針。メールアーカイブを切り口に、クラウドシステムの運用受託やSIにもつなげていくことで売り上げ増につなげる。(安藤章司)