内田洋行(柏原孝社長)は、2010年12月を目処に、自社開発のERP(統合基幹業務システム)「スーパーカクテル」の海外展開に乗り出す。オフショア開発拠点を活用し、現地向けのローカライズ版を拡販する構えだ。一方で、国内ビジネスの足固めに向けた施策も打っていく。

9月、国内で新製品投入も

角野雅夫部長
 内田洋行が狙うのは、海外に設立された日系企業の連結子会社だ。海外展開の第一弾として見据えている地域の特徴は、「日本でいうと1960~70年代後半。ERPはまだ導入できない。ニーズとしては、在庫管理だけで間に合うケースがみられる」(角野雅夫・情報システム事業部企画部部長)。すでに、国内企業が海外支店を設立する際のシステム導入需要が目立ってきており、現地向けのローカライズ版を投入することで、こうしたニーズを汲み取り、新規案件の獲得につなげる。

 現在、情報システム事業部の売り上げは国内のみにとどまる。国内は、人口が減少傾向にあり、一方で中国など急成長する新興国市場に進出する企業が増加している。こうした状況が、同社の海外展開の決断を後押しした。

 国内市場は、08年の世界同時不況以降、「地方の直系(販社)はまだまだ厳しい。首都圏でどれだけ踏ん張れるか」(内田武利・情報システム事業部企画部企画課課長)という状況だ。ただ、システム需要は増え始めており、景気は改善傾向にあるとも実感している。

 2010年度(10年7月期)の第3四半期決算では、官公庁・民間向けビジネスでともに既存顧客のシステム更新需要が堅調に推移。一方、国内市場の収縮で新規顧客案件は伸び悩み、情報システム事業の売上高は300億1900万円(前年同期比3.1%減)、営業損失は11億8600万円(前年同期は3億9200万円の損失)と厳しい数字が並んだ。

 年商100億~500億円規模の食品業や包装資材卸、医薬品業などを得意業種にしている同社。業績不振の打開策として、「スーパーカクテル」の機能限定版や地方向け価格帯の設定、「販社が安価に導入できる仕組み」(内田課長)などが検討の俎上にあがっている。9月には、新規開拓に向けて新製品を投入する考えだ。

 パートナー向けの販売支援策や新製品の投入、そして海外進出──。同社は、国内での拡販策を打ち出しつつも、海外の市場に目を向け始めたわけだ。こうした方針は、IT業界の一大潮流となりつつある。近年、海外重視の動きが活発化している。国内販売が不振の一方、新興国市場の売り上げが急進している事例がみられる。

 内田洋行の今年度からの3か年経営計画では、情報システム事業部単体で、年平均7%成長を目標を掲げている。海外事業の売り上げが創出できれば、目標達成に近づくといえそうだ。(信澤健太)