世界同時不況以降、製造業を中心に、国内企業が新興国に進出する動きが加速化している。中国や東南アジアなどで低価格・高品質な製品を生産できる現在、求められるのはヒト・モノ・カネのリソースの可視化と、「攻めの経営」に根差した戦略の策定だ。しかし、日本の製造業が抱える課題は少なくない。日本インフォア・グローバル・ソリューションズ(日本インフォア)の村上智社長が、同社の取り組みと製造業が推進するシステム導入の実情を語った。

人材のロールモデルを構築

村上智社長
 日本インフォアは、中堅・中小企業(SMB)を対象にERP(統合基幹業務システム)やSCM(サプライチェーンマネジメント)、CRM(顧客情報管理)などを開発・販売している。SOA(サービス指向アーキテクチャ)基盤「Infor Open SOA」を核に、地域別に個別最適で構築していた業務システムやデータの統合・連携など、製造業のグローバル展開のニーズに応えてきた。既存システムを活用しながらERPやSCM、CRMなどの製品群を連携させることで、グローバル経営の実践を支援するものである。

 村上智社長は、システム導入の実態について危機感を抱いている。「ERPの導入には時間がかかりすぎる。導入プロジェクトが長期間に及んでいる」と警鐘を鳴らし、こう続ける。「当社自身も含めて、ベンダーは提案方法を見直す時期にきている」。

 同社は、直販が7割で再販が3割を占める。パートナーは、日立製作所や沖電気工業、電通国際情報サービス、アクセンチュア、日本IBMなどがライセンス販売から提案・導入・保守サポートまで一貫して担う。そのほか、ライセンス販売やSIだけを手がけるパートナーが数十社揃う。同社は、ベンダーが直面するこうした課題(導入期間の長期化)の解決に向け、人材育成活動の強化に取り組んでいる。パートナーへの人材支援や教育を推進するほか、共同プロジェクトを増やし、「人材のロールモデルを構築する」(村上社長)。国内ではまだ実績に乏しい「短期導入事例」を積み上げていくためだ。

 導入プロジェクトに対するユーザー企業の理解も不可欠だ。村上社長は、こんな成功事例を披露してくれた。「7か月間で生販在から会計、調達、管理まで全部導入した。ユーザー企業の役員全員の『何が何でもこの予算と期間で導入する』という決意があったからこそ、うまくいった。ベンダーの力も重要だが、ユーザー企業のリーダーシップも不可欠の要素だ」。

 近年の傾向をみると、システムのグローバル化に成功する企業は、「M&Aや内部統制の取り組みが早い」(村上社長)という。一方で、拠点間での共通化・標準化に時間をかけ過ぎると失敗に終わるケースが多くなる。だからこそ、同社は短期間でのシステム導入にこだわるのだ。システムがグローバルにまたがれば、構築に要する期間もそれだけ長くなる。そこに関わる人材のスキルを高めることで、導入期間を短縮していこうとしているのだ。(信澤健太)