【上海発】中国・上海に本社を構え、ECサイト構築などを主力事業に据えるSIerの恒川システム(上海)(上川著芳代表取締役)は、中国向けECを展開することができるASPサービスの提供や現地サポートなどによって、ユーザー企業が中国市場で事業拡大を図るための環境を整えている。このビジネスで、日系のSMB(中堅・中小企業)を中心に顧客を獲得していく。

上川著芳代表取締役
 恒川システム(上海)は、2003年にオフショア開発からスタートしたソフトベンダーで、EC関連ビジネスの売上比率が全体の50%程度を占め、ユーザー企業のECサイト構築を得意としている。その実績を生かし、このほどECサイト構築のASPサービスの提供を開始した。

 SMBが中国市場向けにECサイトを構築することができるASPサービスは、初期費用が5万元(約65万円)、月額料金が1万元(約13万円)などに設定されている。ECサイトを構築する場合、通常は導入費用として1000万円近くがかかるケースが多い。上川代表取締役は、「規模が小さな企業でもECサイトを構築できるようにすることによって、多くの顧客を獲得していく」方針を示している。

 ASPサービスの具体的な獲得ユーザー数は今後詰めていくが、「アパレルや化粧品などをリアル店舗やネットで販売している企業を対象に新規顧客を開拓する」としている。顧客開拓策については、現段階で既存顧客からの紹介などが中心だが、日本にもオフィスを設置していることから、今後は日本で直販や販売代理店を通じて販売のアプローチをかけていくことも模索している。

 サービスとして特徴的なのは、ASPの提供に加えて現地でのサポートも手がける点だ。ユーザーからの問い合わせに対してサポート要員が電話などで対応する「コールセンター機能」をオプションでつけることで、日系のSMBが中国にオフィスを構えなくても販売できる体制を敷いている。ほかにも、同社が商品を受け取ってユーザーに届けるといった流通ルートも構築。さらに、要望があれば中国最大手ショッピングサイト「タオバオ」への出店をバックアップする。

 中国市場でビジネスを手がけたい意向をもつSMBは日本に多く存在すると見込まれる。しかし、中国にオフィスを構えるなど多大な費用をかけて進出しても、事業が軌道に乗らなければ大きな損失を抱えることになる。しかも、文化や商慣習などの違いで、撤退を余儀なくされる危険性もはらんでいる。このような理由から、中国市場への進出を躊躇するSMBは少なくないだろう。

 上川代表取締役は、「優れた技術や良質な商品をもっているにもかかわらず、日本企業が世界で事業拡大できない状況を、EC構築の立場から少しでも改善していきたい」としている。恒川システム(上海)は、利用料金をリーズナブルに設定したために収益の増加にはつながらない可能性があるものの、ASPによるストックビジネスの確立、ユーザー企業に対するさまざまなバックアップで利益を獲得していく考えだ。(佐相彰彦)