「ASEANの先」はどこか~海外事業の多様化

 年商1000億円以上のシステムインテグレータ(SIer)はASEAN諸国をビジネスの重点地域に位置づけていることが、『週刊BCN』が2014年末に各社社長に対して行った単独取材によって明らかになった。

 野村総合研究所(NRI)、ITホールディングス、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)の3社は、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナムでの事業展開に力を入れている。富士通マーケティングは、日系企業が多く進出しており、日本のITベンダーとして事業展開がしやすいといわれるタイに的を絞り、ASEANビジネスの拡大に動いているところだ。東芝ソリューションやNECソリューションイノベータは、重点地域を「世界中」と幅広く設定するが、そのなかには当然、ASEAN諸国も含まれる。

 大手SIerだけではなく、日商エレクトロニクスや兼松エレクトロニクス、三井情報といった中堅規模のSIerもASEANに注力するトレンドがあり、日本のIT業界は、ASEANを強く意識して海外事業の拡大に取り組んでいることがわかる。

 興味深いのは、IT業界をリードする大手ベンダーが「ASEANの先」をどの地域と捉えているかということだ。当然ながら、ASEANは長いスパンでみても日本のITベンダーにとって重要な市場ではあるが、ASEAN以外に目を向けないのでは、本格的なグローバルビジネスは成り立たない。そんななかにあって、新しいトレンドとして明らかになりつつあるのは、中南米やインドの市場開拓に挑むということだ。

 NTTデータの岩本敏男社長は、2016年に開催予定のリオデジャネイロ五輪などで経済成長に沸くブラジルを重点地域に位置づけていると明言している。社会インフラソリューションに力を入れるNECは、メキシコなどに着目し、市場開拓に取り組んでいく。それ以外にも、日立システムズのようにインドでの事業展開に注力するSIerが現れている。

 結論としていえるのは、大手~中堅SIerは、海外事業に本腰を入れ、ASEANをその中核となる地域とみていること。さらに、大手は、ASEANだけではなく、中南米やインドなどに事業領域を広げて、海外事業の「多様化」を掲げているということだ。(ゼンフ ミシャ)