日立システムズ(高橋直也社長)は、ASEANで4か所目となるデータセンター(DC)の運用を2015年から本格的に始める。マレーシアでデータセンター運営などを手がけるPowerware Systems(パワーウェアシステムズ)に30%の出資を2014年10月に行うとともに、同年11月にはシンガポールのI-Net Solutions(アイネットソリューションズ)をグループに迎え入れ、DC運営能力を大幅に高めた。また、将来的にインドネシアでのDC開設も視野に入れるなど、ASEANでDC活用型ビジネスを伸ばす方針だ。(安藤章司)

高橋直也
社長
 日立システムズは、日立グループのなかでもDCの運営に突出した強みをもつSIerであり、国内でも主要DCの運営を手がけている。この強みをASEANでのビジネスに応用するのが、今回のDC増設の狙いだ。

 同社はマレーシアのサンウェイテクノロジーとの合弁会社「日立サンウェイインフォメーションシステムズ」を通じて、パワーウェアシステムズへの30%出資や、マレーシアでデータセンター運用を手がけるFree Net Business Solutions(フリーネットビジネスソリューションズ)を14年8月にグループ会社化している。さらに11月にはシンガポールでマネージドサービス事業などを手がけるアイネットソリューションズをグループに迎え入れるなど、DCを共通項としたITインフラやマネージドサービス事業の拡大に向けた投資を積極的に行ってきた。パワーウェアやフリーネットのリソースを活用することで、日立システムズはマレーシアでの3か所目のDC設備を獲得。2015年から本格的に運用を始めることで、「DCを活用したビジネスを一段と拡大していく」(高橋社長)としている。同社は、タイでもDCを運営しており、さらには将来的にASEAN最大の国、インドネシアでのDC開設も視野に入れている。

 ASEANではAmazon Web Services(AWS)をはじめ大手パブリッククラウドサービスベンダーが進出しているが、「すべてがパブリッククラウドで運用できるわけではないし、むしろパブリッククラウドと連携したハイブリッドクラウドが当社の強み」(同)と、地場に根ざしたDC事業とパブリッククラウドとのハイブリッド型にニーズがあるとみている。具体的には基幹業務システムは、仕様が明確になっている地場のDCに預け、キャンペーンなど販売促進に使うフロント系のウェブシステムはパブリッククラウドに置くといった具合だ。

 高橋社長は、「どの国でも、基幹業務システムは、情報セキュリティの観点から自国内の出自がしっかりとしたDCに預けたいというニーズが強い」とみており、マレーシアならマレーシア、タイならタイの地場DCを重視する。今後も地場ベンダーへの出資やグループ化の検討を進めるとともに、DC運営に欠かせない運用ノウハウや、IT機器や電源、空調といったDC品質を決定づけるキーコンポーネントの多くを自前で揃えることで、「競争力のある高品質なサービス」を売りにする。こうした取り組みによって、早ければ2015年度(16年3月期)にも、ASEANや中国、インドなどのアジアを中心とする海外売上高を500億円にすることを目指す。