【上海発】高律科(上海)信息系統(クオリカ上海、水沼充総経理)が、安定成長の路線に舵を切っている。同社はここ数年、日系企業向けのプロダクト販売で売上高を急激に拡大してきたが、水沼総経理は、「今後は安定して利益を捻出できる体制を目指す」として、売上拡大よりも利益捻出を優先する方針を示している。(真鍋武)

水沼充
総経理
 路線変更の背景にあるのは、日系製造業のIT投資意欲の低迷だ。クオリカ上海の主要事業は、グループ企業であるコマツの中国法人に対するITサポートと、SaaS型の製造業向け生産管理システム「AToMsQube」、外食産業・飲食業向け店舗・本部支援システム「TastyQube」の販売となっている。顧客のうちの日系企業の割合は9割方を占めるが、中国商務部によると、2015年1~5月の日本の対中直接投資額(実行ベース)は前年同期比9.4%減の17億8000万米ドルと減速している。水沼総経理は、「日系製造業はIT投資を抑えており、コマツからの新規案件はほとんどない。とくに今年の1~3月は、建機メーカーや大型部品メーカーの案件数が少なかった」と説明。円安元高や人件費高騰によるコスト負担の増大が日系製造業のIT投資を抑制する要因となっている。

 そこで現在は、サービス解約を防止するためのサポート体制の強化と、新規案件を獲得するためのローカル企業向けの提案を強化。「AToMsQube」では、現地の自動車部品メーカーを中心に直販方式で営業を推進し、2015年度(15年12月期)上期は7件を受注した。ローカル市場では、現地のITベンダーが競争相手となるが、水沼総経理は、「競合は用友や金蝶の簡易システムを提案するケースが多く、機能面で顧客ニーズを十分に満たせていない。その上のクラスでは、SAPやオラクルが検討対象になるが、価格が高い」と説明。製造業に特化した機能を備え、初期費用を抑えたクラウドサービスとして提供できる「AToMsQube」の優位性を生かす。

 一方、「TastyQube」は、既存ユーザーの日系企業が新規出店を増やしていることなどから、導入数は約350店舗まで拡大し、順調に成長している。現地のPOSメーカーなどと連携して、台湾系を中心とするローカル企業向けの提案にも着手しており、上期には3社の現地ユーザーを獲得した。